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エコ達人の集落~ゆかいに減らすCO2

鹿児島に“エコ達人”だらけの集落がある。鹿児島県出水市六月田下(ろくがつだしも)集落。56世帯167人、60歳以上が52%という、どこにでもあるような過疎集落だが、地球温暖化問題に、「集落をあげて楽しく」取り組み、注目されている。

“蛍光灯の間引き点灯”“洗濯は2日に1度”“水道の水の量は鉛筆の細さまで”など、モットーは「無理なく楽しく」。2006年から全世帯の光熱費のデータを取り続けたところ、CO?発生量を12%削減、年間光熱費は1世帯平均6万円も減ったことが分かった。集落をあげてのエコは、仕事を通じ地球温暖化の深刻さを痛感した自治会長の松田正幸さん(67歳)の、次世代への強い責任感が原動力だった。

また、増えるゲリラ豪雨で集落が被害を受けたことも集落の人々を本気にさせた。2011年、「ストップ温暖化・低炭素杯」で集落の発表が笑いと感動を呼び、準グランプリを受賞。松田さんは日本代表としてイギリスに派遣される。そして、緑を愛するイギリスの人々が楽しいエコの知恵をもたらしてくれた。
小さな集落の、大きな成果をあげているエコ活動の記録。
<取材先データ>
六月田下(ろくがつだしも)自治会
自治会長 松田正幸さん
〒899-0126 鹿児島県出水市六月田町491番地
電話(0996)67ー2693

取材後記

六月田下(ろくがつだしも)集落に福留正倫カメラマンと取材に通うようになって6年になりますが、初めて伺った時、驚いたのは、菩薩さま軍団のようなみなさんの笑顔でした。後光がさしているように感じるほど、いい笑顔勢ぞろいなのです。今回、取材の仲間となった面高亜沙美記者も同じ感想で、こんな集落を築きつつある自治会長の松田正幸さん&栄子さん夫妻とみなさんに頭が下がります。

松田さんが地球温暖化の深刻さに胸をいため、集落の人々にエコを呼びかけた時、「エコって何や?地球温暖化って何や?」「そんなことは行政の仕事」といった反応が大半でした。しかし、ゲリラ豪雨や熱波など気候変動をみなさんが実感するようになり、今や、松田さんの話に、お年寄りから子どもまで真剣に耳を傾けています。集落独自の避難訓練も始まりましたが、参加率が高いことにも感心させられます。

リーダー松田さんの工夫は多くの示唆を与えてくれます。
楽しくなければ長続きしない。データがあってこそ説得力がある。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、この秋、地球温暖化の相当に深刻な最新報告が予想されています。松田さんと六月田下集落の姿を伝えたい、とあらためて感じます。

MBC 南日本放送 報道部 山縣 由美子

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