隆起サンゴ礁の島・喜界島。今でも年間2ミリずつ隆起し、そのスピードは世界屈指。過去のサンゴ礁がそのまま保存されていることから「サンゴ礁研究の聖地」と呼ばれてきた。
そんな喜界島に2015年に開所したのが「喜界島サンゴ礁科学研究所」。日本唯一のサンゴ礁専門の研究所だ。北海道大学で研究をしていた渡邊剛理事長(54)が中心となり、立ち上げた。渡邊理事長らは、「100年後に残す」をスローガンに掲げ、地球規模の気候変動を調べるほか、喜界島の交流人口の増加、人材育成にも取り組む。
喜界島では、昔からサンゴで石垣を作り、石灰石を建材として使ってきた。また、サンゴが作りだした土壌はミネラルが豊富で、日本一を誇る白ゴマの生産など農業を支え、サンゴの恵みは島民の生活に根差している。
研究所は、島の貴重な宝を発信しようと様々な活動を行っている。地元の住民向けに公民館講座を行うほか、全国から小中高校生を集め、サイエンスキャンプを開催。また、地元の喜界高校に在籍しながら、研究所で研究活動を行う「サンゴ留学生」を受け入れている。
この貴重な環境を未来へ繋ぐ研究所の活動を追った。
《取材先データ》
喜界島サンゴ礁科学研究所
住所:鹿児島県大島郡喜界町塩道1508
電話:0997-66-0200
URL: https://kikaireefs.org/
理事長 渡邊剛さん
取材後記
今回の取材で、初めて喜界島へ行きました。人口約6000人の小さな島。どこまでも続くサトウキビ畑と青い海と空。そんなのどかな島は、実は世界中の研究者から「聖地」と呼ばれています。サンゴ礁が隆起してできた島は他にも多くあります。その中で喜界島が「聖地」と呼ばれる理由はその速度。年間2ミリ隆起を続けているんです。
そんな喜界島に喜界島サンゴ礁科学研究所が作られたのが10年前。世界中のほとんどの研究機関は都会にあって、研究のフィールドにはない。そのことに疑問を持ち、地域に根差した研究所で、世界の最先端の研究をやろうとスタートしたそうです。
今回、私たちは、研究所が取り組んでいる地元向けの講座や子ども向けの研究合宿、さらにはサンゴ研究のために喜界島にやって来た「サンゴ留学生」を取材しました。「聖地」という喜界島には、「不思議」や研究材料があふれていて、子どもから大人までキラキラした表情で研究・探求している姿が印象的でした。
そして10月には喜界島は日本ジオパークに認定。これからますます注目される島となるでしょう。サンゴが長い時間をかけて作り上げたこの島で、今、新たな「時」が動き始めています。ぜひ、地球のダイナミズムを感じに喜界島に行ってみてください。
(MBC南日本放送/久保美紗恵)
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