長崎県東彼杵町で生産される「そのぎ茶」は、苦味が少なくまろやかな味わいの「蒸し製玉緑茶」と呼ばれている。日本のお茶生産量の約1%しかない希少なお茶である。
茶の種が最初に伝わったとされる長崎。しかし意外にも、そのぎ茶の銘柄確立は1987年と比較的最近のことで、それまでは「嬉野茶」として販売されていた歴史がある。
銘柄確立後、そのぎ茶は品質を磨き上げ、全国茶品評会で4年連続一位、日本茶AWARDでも日本一を獲得するなど、全国で高い評価を受けるお茶となった。しかし、その高い評価に反して知名度が低いことや、地名である東彼杵(ひがしそのぎ)が読みにくいという課題があった。
この課題を打開し、日本一から世界のSONOGIを目指すため、東彼杵町役場の小森竜樹地域プロジェクトマネージャー(48)と、製茶問屋 西海園の二瀬浩志社長(53)らが、お茶を練り込んだ麺「SONOGI茶NOODLE」を開発した。幅2cmのこの麺は、和食やスイーツにも使えるスーパーニッチな商品として、地域資源を活かした新たな挑戦を牽引している。
■取材先情報
会社名:製茶問屋 有限会社西海園
担当者:二瀬 浩志社長
住所:長崎県東彼杵郡東彼杵町三根郷1349
電話:0957-46-0072
HP:https://saikaien.com/
会社名:有限会社茶友
担当者:松尾 政敏社長
住所:長崎県東彼杵郡東彼杵町一ツ石郷874番地
電話:0957-47-0611
HP:https://saikaien.com/
東彼杵町役場
電話0957-46-1111
取材後記
私が初めてそのぎ茶を飲んだ時の感想は、「まるで上品な出汁みたいだ…」でした。今まで飲んだどのお茶とも違う、ほのかな甘みと旨味。しかしながら、私も長崎に来るまでそのぎ茶の存在を知らなかったように、生産者の皆さんも「おいしいんだけど、知名度がもう一つね…」と話していました。
今回は、大阪・関西万博の市民参加プログラムをきっかけに生まれたSONOGI茶NOODLEを取り上げましたが、その根底にあるのは「そのぎ茶そのもののおいしさを理解して欲しい」というものでした。役場が主導して行ったNOODLEの開発や、生産者の質を高めるこだわり、民間が行う海外の人が参加するティ―ツアーなど、そのぎ茶を広めようと、それぞれの立場の人たちが努力する姿が印象に残っています。
日本国内で緑茶の消費量が減少傾向である一方、海外への日本茶の輸出額は過去最多を更新するなど、生産量の少ないそのぎ茶にも、まだまだ可能性はあります。
「日本茶と言えばSONOGIだよね」いつかそんな日が来ることを楽しみにしています。
(NBC長崎放送/住吉 光)
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