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慣れずに安定する|アナウンサーコラム

時間の感覚は人それぞれだ。19世紀のフランスの哲学者が提唱した「ジャネーの法則」は、年齢を重ねるほどに時の移ろいを速く感じるというものだ。5歳の人にとっての1年は「人生の5分の1」だが、50歳の人にとっての1年は「人生の50分の1」なので、体感が変化するという。

同様に、初めて経験するような新鮮な体験は、強く印象に残るので時間を長く感じ、慣れた体験は印象に残らず時間を短く感じるという説もある。いずれにしろ、子供の頃の1日がやたら長かったことは共通の感覚だろう。

私が担当するラジオ番組の一つ「アナウンサーの世界」は、10月で4年目に入った。長く続けたいと願っているので、3周年を迎えたことは感慨深い。実は改編期を乗り越えるたびに安堵と喜びを感じてきたのだ。慣れないうちは緊張の連続で、何をどう話せばよいのか理想を目指し試行錯誤の連続だった。なので、最初の1年は長かった。それがもう3年。長いようであっという間にも感じる。もしかすると新鮮な気持ちから安定(慣れ)の時期に移行しているのかもしれない。

今の目標は、決して慣れずに安定すること。変化を恐れずアップデートし続けてマンネリを打破できれば、(仕事に限らず)何事も充実するかもしれない。

10月17日(土)毎日新聞掲載


坂田周大
RKBアナウンサー。長崎県長崎市出身。
担当番組:タダイマ!志、情熱企業 など。

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