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どんなクルマも創ります

イズミ車体製作所(熊本県大津町)は、検診車生産台数3年連続日本一を誇る自動車メーカー。救急車や福祉車両、図書館車、サミットに出動する特殊医療救護車など特殊な工事を必要とする車両の設計・製造を行ってきた。これまで作ってきた車は多岐にわたる! 最新鋭の設備を備えているが、もともとはバスの修理や整備を行う下請けの町工場、今もマイスターと呼ばれる職人たちを抱えている。

ハンマーで鉄板を滑らかに仕上げる伝統技術「打ち出し板金」で検診車両の製造を始めたことで下請けからの脱却に成功。以来、町工場の知恵と工夫でユニークな車をつくってきた。 10年前からは既存のディーゼルバスを改造して、電気で走る改造EVバスの開発に乗り出した。全国のバス事業者の多くは、年式が古く、排気ガスを大量に排出するバスを抱えていた。

3年前には改造EVバスの試作車第一号が完成、新車と比べわずか5分の1のコストで作れるため、全国的に普及するかもしれない!今年はマレーシアへのEVバスプロジェクトにも加わり、海外から注目を集めている。イズミ車体のEVバス完成までの開発の舞台裏に密着しながら、世界に通用する町工場の「ものづくり」を紹介する。
取材先
会社名:株式会社イズミ車体製作所
担当者:宮﨑信也 常務取締役
住所:熊本県菊池郡大津町大字岩坂3258-4
電話:096-279-1666
HP:http://www.izumishatai.co.jp

取材後記

イズミ車体製作所は「ものづくり」を守り継いできた企業です。
戦前、馬車を修理する鍛冶屋から始まり、地元バス会社の整備工場として歩んでいく中、自分達が培ってきた「技術」を信じ、検診車製造日本一を達成しました。 会長の古庄忠信さんは昭和41年に工員として入社し、ユニークなアイデアで様々な車を作りました。そして、多くの企業が失っていった昔ながらの「技術」を大事にしました。 若い頃、職人として技術を磨く中、鉄板をハンマーで叩いて成形する「打ち出し鈑金技術」の習得に苦労したそうです。後に経営者となった古庄さんは、日々下請けからの脱却を模索します。

そんな中、時代とともに廃れていく伝統技術の活用を思いつきました。 そして約40年前、会社の生き残りをかけた事業転換に挑戦したのです。 それまでのバスの修理・整備から、現代の超高齢社会に必要な「検診車」の製造へ! 昭和50年代という、まだ高齢化社会が到来することへの実感がなかった時代にです。 その後、当時の発注元は会社経営が傾いていく一方、イズミ車体製作所は飛躍していきました。 超高化社会の到来を予見した時代を読む力は言うまでもありませんが、何が自分たちの強みなのかを見極め、それを活かして新しい挑戦を続けたからこその今があります。 また、働く意欲や職人としての誇りを育くむため、常に社員を家族のように大事してきました。

社内運動会や社員旅行を続けている点も、効率のもと多くの企業が失ったものを守り続けている一例だと感じます。そして、10年前、検診車が堅調な時期に、改造EVバスの開発という新たな挑戦に乗り出しました。そこには、未来に向けて常に生き残る道筋を模索し続ける、町工場の強かな知恵が詰まっているように思います。

担当:RKK熊本放送 伊藤和雄

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