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南イタリアの味をそのままに、愛され続けるイタリア食堂

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SACCO外観

西鉄大橋駅を降り、高架沿いを歩いてすぐ。赤いパラソルが目印です。木の扉を開けて中へ入ると、南イタリアの食堂のような、素朴でカジュアルな空気が広がります。

SACCO人物 SACCO内観

店内では、マンマ(イタリア語で“お母さん”の意)と呼ばれる秋元幸さんと、前菜やデザートを担当する杉山薫さんが迎えてくれます。ふたりのやわらかな距離感も、この店の魅力のひとつです。

肩肘張らず、家族でも気軽に楽しめる場所にしたい——そんな思いが店名に掲げられた“食堂”という言葉に込められています。料理はコースではなく、前菜からパスタ、メインまで、そのとき食べたいものを選んでいくスタイルです。

2015年に高宮でオープンし、2023年4月に大橋へ移転。イタリア・プーリア州での経験を持つオーナー・薙野耕平さんと、ナポリでイタリアの家庭料理の美味しさに出会った秋元さん。ふたりが軸とするのは、南イタリアの家庭料理です。コロナ禍以前には、年に一度イタリアを訪れ、山間部や海辺の食堂を巡り、その味を持ち帰る。「食べたものをそのまま伝えたい」。その積み重ねが、いまの料理につながっています。

SACCOお野菜料理盛り合わせ

卓上に置かれたメニューは、定番と季節の料理の2枚構成。まずは「お野菜料理盛り合わせ」(1,550円)をオーダーしました。その季節の野菜を使い、酸味や辛味、ニンニクやアンチョビの風味を利かせた料理が並びます。十数種類が一皿に収まり、ひと口ごとに味わいが移り変わっていきます。

そこに合わせたいのがワインです。この店ではコップで気軽に楽しめるスタイルで、グラスのほかカラフェやボトルも用意されています。前菜をつまみながら少しずつ飲み進める——そんな過ごし方が、この店にはよく似合います。

SACCOイワシのマリネ

続いて、この店の定番「イワシのマリネ」(990円)。酢の香りが立ち、口に含むと酸味がすっと広がります。「酸っぱいんですけど、それがいいねと言ってもらっています。白ワインとの相性もいいですし、不思議と子どもにも人気なんですよ」と秋元さん。

SACCO小えびと春野菜のフリット SACCO葉付き玉ねぎのフリッタータ

「小えびと春野菜のフリット」(1,100円)は、ビール衣でさっくりと揚げられ、軽やかな食感が印象的。旬の野菜が盛り込まれ、季節をしっかりと感じられる一皿です。一方、「葉付き玉ねぎのフリッタータ」(1,100円)は、イタリアでも親しまれているオムレツの一種。取材時は葉付き玉ねぎが使われ、季節が進むにつれズッキーニやキノコへと移り変わります。

SACCOポモドーロ

パスタは定番の「南イタリアのポモドーロ」(1,210円)をセレクト。酸味と旨味のバランスが取れたトマトソースが、やや太めのスパゲティにしっかりと絡みます。シンプルな構成ながら、味の輪郭は明確です。

「イタリアはシンプルなお母さんの料理がおいしいんです」と秋元さん。ナポリで出会ったマンマに作り方を教わり、現地で食べた味を大切に再現しています。この「ポモドーロ」も、そうした記憶に残る味のひとつ。余計な手を加えず、素材の持ち味をそのまま活かす——その考え方が、料理の軸になっています。

SACCO牛カイノミのビステッカ

そして、メインは「牛カイノミのビステッカ」(2,750円~)。赤身の肉々しさが前面に出た一皿で、しっかりと食べ応えがあります。付け合わせ(660円)は、ポテトフライやサラダから選択可能。この日はポテトフライを合わせました。

この店に通っていると、食材が季節ごとに入れ替わっていくことに気づきます。牡蠣が出始めてきたら、「牡蠣のパスタはもう始まったかな?」と自然に思い浮かぶ——こうして10年以上の月日が過ぎていきました。高宮時代から通う常連客も多く、時間の経過とともに関係性も変化しています。家族で訪れていた子どもが成長し、友人同士やデートで訪れるようになる。「子ども時代から知っている子が、大人になって来てくれることがすごく嬉しいですね」と話す秋元さんの言葉に、この店が積み重ねてきた時間が垣間見えます。

「イタリアで過ごした時間を思い出したと言ってもらえることもあるんですよ」と秋元さん。現地で食べていたものが、そのままここで味わえる——そんな感覚を求めて、同業者をはじめ、イタリアに触れてきた人たちも足を運びます。一方で、イタリアに行ったことがない人が「これが本場の味なんですね」と興味を持ち、実際に現地を訪れるきっかけになったこともあるのだとか。そして、旅先でまたこの店を思い出す。そんなふうに、食事の記憶がつながっていくことが、何よりもうれしいといいます。

これからも特別なことをするのではなく、日々の料理を積み重ねていく。その時間が、この店の歴史として長く愛され続けていきます。

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この記事を書いたひと

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