PageTopButton

「ノリ」記録的不作で6月から一斉値上げ 有明海の加工業者が懸念する「ノリ離れ」

有明海の養殖ノリは、今シーズン記録的な不作に見舞われました。ノリの主要メーカーは6月から一斉に値上げに踏み切ります。メーカーにとっては苦渋の決断ですが、その一方で消費者の「ノリ離れ」も懸念されています。


◆ノリの保管庫は・・・
佐賀市のノリ加工業者「サン海苔」です。ノリを保管する倉庫は、空いたスペースが目立ちます。別の倉庫に足を踏み入れると・・・

RKB岩本大志「ノリを保管する倉庫です。通常であれば、このあたりまで在庫があるそうなんですが、今年は不作の影響でがらんとしています」


◆昨シーズンの約半分
国内最大の養殖ノリの産地である有明海。佐賀県は、生産量・販売額ともに19年連続で日本一でした。しかし、今シーズンは雨が少なかったことや赤潮の発生などが原因で記録的な不作に。販売枚数は9億820万枚と昨シーズンの約半分にとどまり、兵庫県に敗れてトップの座を明け渡しました。焼きノリなど主に家庭向けの商品を販売している「サン海苔」の担当者も頭を悩ませています。

サン海苔佐賀第一営業所 森田良司所長「ここ数年こういった状況は初めてというぐらい在庫が少ない」


◆苦渋の値上げ
記録的な不作を受けて、1枚あたり12円71銭だった養殖ノリの平均単価は、今シーズン18円48銭と大幅に上昇しました。このため「サン海苔」も6月から全ての商品を10%から30%値上げすることを決めました。

森田良司所長「ノリを買い付けする価格が高騰しておりまして、それを価格に転嫁せざるを得ない状況になっています。平均20%値上げになりますが、ここまで値上げするのは初めて」


◆懸念される「ノリ離れ」
メーカーにとっては苦渋の決断ですが、懸念されるのが消費者の「ノリ離れ」です。

森田良司所長「価格が相当上がるものもありますので、家庭でおにぎりでノリを巻かないことも考えられるので、ノリ離れにつながらないようにやっていきたい」

買い物客にノリの値上げについて聞いてみると・・・

買い物客「値上がりは困ります。孫が晩ご飯のノリ巻きに使いますから」


◆燃料費の高騰も打撃
一方、生産者はノリの不作に加えて、燃料費の高騰にも苦しんでします。

佐賀県有明海漁協大詫間支所 中島良人運営委員長「この仕事続けられるやろうかというぐらいまで値上がりしている」

また、ノリを乾燥させる機材の維持費も上がっているといいます。

中島良人運営委員長「機械がないと仕事できないので。人出もそろわないので機械に頼るしかないので」


◆不作と後継者不足
佐賀県によりますと、県内のノリ養殖の経営体数はピーク時の3分の1まで減少しています。ノリの不作によって後継者不足に拍車がかかることも懸念されます。

中島良人運営委員長「廃業する人が出てくる。今年もうちの人だけで2人。後継者がいる家庭なのに2人やめていく。それだけ厳しいということ。われわれとしては、ある程度金額があがらないことには生活ができない。分かってもらうしかない。われわれは安定した枚数をとる。おいしいノリをとることが義務だと思ってますんで。そっちは頑張るつもりですんで」

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう