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海賊か?ホルムズ海峡で不審船に遭遇~タンカー「日章丸」同乗取材44日間の記録

往復2万5000キロの「オイルロード」。中東産油国から原油を運ぶタンカーは、今も日本経済を支えている。44日間の同乗取材中、海賊が出没するホルムズ海峡で不審船に遭遇した。10回シリーズの4回目。(2013年8月30日~同年10月12日に同乗取材)

行き先の最終決定は15日目

東京湾を出て15日目(9・13)。スリランカのコロンボ沖を航行中のことだ。出光タンカー本社から原油の積み地が決まったと正式に連絡が入った。

松本船長「UAE(アラブ首長国連邦)のダス島とカタールのハルル島で原油を積んで、千葉の京葉シーバースに運ぶ」

原油の積み地は2か所

*海図で説明


松本船長「ダス島にくる油というのは、ウム・シャイフ・オイルフィールドと、もう一つのオイルフィールドから出たものをパイプラインで島に持ってきてタンクに貯めて積み込む」

海賊対策

ここからアラビア海へと入っていく。海賊が出没する海域だ。

*船尾にワイヤーを張り巡らせる作業


日章丸では、様々な海賊対策をとっている。

RKB久間直樹「海賊対策として船員が張り巡らせているワイヤーです。鉄条網のようなもので5センチおきに尖ったものがついています」

バラスト水も活用

また、海賊対策として船のバランスをとるバラスト水を放水して、甲板に上がらせないようにする訓練も日ごろから実施。操舵室からの監視はもちろん、船のスピードにも注意を払っている。

安全性と経済性

松本船長「海賊の危険性があるアラビア海とマラッカ海峡はフルスピード。危険性のない海域は燃料消費を抑えた省エネで航行する。フルスピードなら19日くらいで行くところを、速力を落とせば21日かかりますと、そうすると2日間余分に航海することになるので、単純にいうと2日分の船のコスト(人件費・食料費など)が余分にかかることになる。その余分にかかる2日間のコストと、フルスピードで航行したときと減速して航行したときの燃料のコスト差を考えながら航海している」

当時の日章丸は…

RKB久間「ホルムズ海峡に入りました。オマーン湾とペルシャ湾を結ぶ海域です。きょうは波も穏やかでゆったりと日章丸を迎えています。60年前、日章丸がここホルムズ海峡を通過するときは、イギリスの軍艦に見つからないかと乗組員も緊張していたことと思います」

海賊なのか?

スピードを出した不審な小型船が近づいてきた。

*日章丸の汽笛「ボーン」


日章丸の船首をかすめる。海賊か。

RKB久間「海賊の船ではない?」

密輸目的か

松本船長「海賊の船ではないですね。こういうボートで近づいてくるんですけど、大きな母船があって、そこからですね。(密輸ですか?)多分、何か持ってきながら、向こうでないものを調達して持って帰る。」

海賊による強奪事件

瀬戸口機関士「たまたまアデン湾を通った船長が言っていた話では、昼間に“どれにしようかな”という感じで、ポーンと来る感じです。小さな船が、今は高速船で、後ろからパッパッパッと囲んで、そこから攻撃をしてくるような形とか」

アラビア海などアフリカ大陸のインド洋側で頻発していた海賊による強奪事件は、当局の取締りの成果かここ数年、減少傾向にある。最近は、大西洋側のギニア湾沖で多発しているという。

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