世界の5つ星、ザ・リッツ・カールトン福岡の装飾に挑む! 創業162年の博多織「西村織物」一世一代の大仕事を追った!
博多最古の西村織物と戦国武将・豊臣秀吉との関係
創業162年の西村織物は、今ある博多織の織元の中で最も歴史が長い。
そんな西村家の先祖を遡ってみると、あの戦国武将・豊臣秀吉との関係が浮かび上がる。
当時の博多は度重なる戦で荒廃。秀吉は再開発のため、町割りを行った。その時、糸を輸入する貿易商として豪商たちと一緒に尽力したのが西村家のご先祖様だという。
西村家の家紋は豊臣秀吉から授かったもの。
400年以上前から博多に絹糸を輸入し、織物に携わる商売をしていたことが博多織を創業することにつながり西村織物の今に至った。
和服のカテゴリーを超えた様々なコラボレーション
そんな西村織物は和服のカテゴリーを超えて様々なファッション分野からも注目されている。
アウトドアのスノーピークや資生堂とコラボし伝統工芸品・博多織のさらなる可能性を探る。
その背景にあるのは、伝統工芸品の需要の減少。日本の工芸は衰退に歯止めがかからず生産額は減少。消費者にとって魅力ある商品開発が求められている。
太宰府天満宮や博多人形など地元福岡にも深い繋がりがある。
山笠の帯のデザインを博多人形師:中村さんが企画し西村織物が制作。「YAMAOBI(山帯)」が今年誕生した。
ザ・リッツ・カールトン福岡の装飾に挑んだ熱い日々
そして西村織物は最高級ホテルと名高いリッツカールトンの内装を手がけることになる。始まりは3年前。新型コロナが日本に上陸、35台ある織り機が全て停止し窮地に追い込まれる中、リッツカールトンから仕事の依頼が舞い込んだ。
ザ・リッツ・カールトン福岡は国内六カ所目。福岡や九州は海外の観光客にとってまだまだ未知なる世界、博多織は室町時代から780年以上続く福岡の伝統工芸。地元の伝統工芸はインパクトのある観光素材。リッツカールトンは宿泊客にその土地ならではの体験を提供するために博多織の内装を採用した。
内装を担当する海外のデザイン事務所とはオンラインで打ち合わせを重ねたが様々な問題が立ちはだかる。伝統工芸士の努力とチームワークで光を見出す。
慶応元年、156年前の江戸時代当時の生地をまとめたアーカイブ資料から最終的にデザインが採用された。
ロビーラウンジに使われた博多織は約400m。江戸時代の博多の人たちの美意識が時を超えて再現された。
地元伝統工芸の価値と今後の可能性とは?
780年以上の歴史があると言われる伝統工芸・博多織。
福岡初の高級ホテルに博多織が採用されたことに西村社長は新たな可能性を感じている。
西村織物では博多織が海外観光客に認知されることを考え、工場で受け入れのツアーやお土産品を企画中。
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう