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パラ卓球・世界3位の古川選手 パリパラリンピック出場枠は「世界で10人」狭き門に挑む

パリオリンピック・パラリンピックまで1年。福岡市の古川佳奈美選手は、パラ卓球で世界ランキング3位、日本人トップの実力者。おしゃれが大好きな26歳は、パリパラリンピックの出場を目指します。

「博多卓球クラブ」で一般のスクール生に混じり


パラ卓球・古川佳奈美選手は、東京パラリンピックにも出場した実力の持ち主で、2024年のパリ大会でも活躍が期待されています。「博多卓球クラブ」(福岡県新宮町)で、一般のスクール生に混じって練習をしています。

古川佳奈美選手「応援してくれているし、自分も教室に入れてもらっているので、すごい楽しいです。」

「知的障害」「自閉症スペクトラム」を持つ


パラ卓球は、障害の重さによって11クラスに分かれています。古川選手が所属するのは、知的障害者のクラス。一般の卓球と同じルールが採用されています。
古川選手は小学4年生の時に、軽度の「知的障害」と「自閉症スペクトラム」の合併症と診断されました。理解力が劣る、臨機応変な対応が難しいといった特徴があります。

母の倫子さん「勉強はついていけないし、コミュニケーションもなかなか通らないことがあるので、今まで大丈夫と言われているのが、どうして?という感じだったので、だから逆にショックというより、今度それに向き合ってケアしていけばいいかなという感じにとらえました」

中学に進むと卓球部に入部。その才能を開花させます。

母の倫子さん「明るくなりました。卓球に関する話だったらコミュニーションがとれていたので、コミュニケーションも成長してきたな、と思いますね」

立花高校に進学し、卒業後は卓球に専念し、見事東京パラリンピック代表の座をつかみました。

ハンディ克服へコーチの教えをノートに


競技を続ける中で、何度も壁にぶつかってきました。実力がめきめきと伸びる一方で、どうしてもハンディキャップが古川選手を悩ませます。

井保啓太コーチ「自分で考えて戦術とかプレーを立てられないので、試合中に忘れてしまったり、急に地団太を踏んで行動がおかしくなる時もある。そこですね、不安は」

こうしたハンディを克服するため、コーチの教えを毎日ノートに書き留めています。

古川佳奈美選手「試合前に見ようかな、と思って。練習前も」
 

東京パラではまさかの予選敗退


そして勝ち取った、東京パラリンピックの舞台。直前の国際大会でも活躍していた古川選手は、メダルの有力候補でした。しかし、予選グループでまさかの敗退。

古川佳奈美選手「普通に悔しいって感じで、でも次出たら金メダル取りたいなって感じです」
井保啓太コーチ「試合が近いから、目的意識をしっかりもって全員行動するように」

あと1年に迫ったパリ大会。今度こそメダルをつかみたい…。練習にも熱が入ります。

井保啓太コーチ「きついからって雑にならない。コース決まっているんだから、先に動いていいから、正確にやって。何してんの? この1球で人生変わるかもしれないんだよ」

古川選手の武器は「しゃがみ込みサーブ」。サーブの際にしゃがみ込ながら打ち、体全体を使ってボールにスピンをかけます。通常よりも倍以上の回転がかかり、どのように曲がるかは打った本人にも分かりません。

古川佳奈美選手「最初は難しかったです。おぼえるのに」
Q.このクラスでやる選手はいないんですか?
古川佳奈美選手「あんまりいないから、おぼえたかった」

「狭き門」に挑戦する古川佳奈美選手


そして、今年6月に行われた知的障害者卓球の全国大会。2023年秋に開催されるアジアパラ競技大会代表の3人は、ここでの成績で決まります。
第2シードの古川選手は、準決勝まで順調に勝ち上がりますが、ミスが続く展開に、精神面の課題も顔を出します。残念ながら決勝進出はならず…。迎えた3位決定戦。

古川佳奈美選手「練習で駄目なところが結構出たので、練習あるのみです。練習をして、今後の大会までに修正をして練習しないといけない」

結果は3位でしたが、アジアパラ競技大会の出場権を獲得した古川選手。この大会で優勝を飾れば、パリ行きのキップが手に入ります。パラリンピック卓球の知的障害のクラスの出場枠は、男女それぞれ世界でたった10人ずつ。国ごとに出場枠があるわけではありません。狭き門を突破し頂点へ、古川選手の挑戦は続きます。

古川佳奈美選手「パリに向けてみんなに勝って、金メダル取ることです。そこまではちゃんとしないといけないので。大変でもなんでも」

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