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次世代につなぐ水産エコシステム

日本でも有数の水産県である長崎県。人口あたりの漁業就業者数は全国1位を誇る。
その一方で漁業者の数は年々減少の一途をたどっており、漁業者の高齢化問題も深刻になっている。このままでは長崎県の水産業の未来に明るい展望は描けない。

その現状を打破すべく立ち上がった男がいる。料理人・永石一成(40)。
以前から魚の消費拡大に向けた活動にも熱心に取り組んでいる彼は、飲食業の安定的な発展のためには、飲食だけではなく、水産業全体が安定的に発展していく必要があるという思いを抱いていた。そして持続可能で利益率の高い水産業を実現するシステムとして「水産エコシステム」を提唱した。
従来の水産業では事業規模を拡大して漁獲量を増やし、外に向かって商品を売っていくことをよしとしていたが、水産エコシステムは違う。生産者は環境に合った事業規模を維持し、システムに関わる業者は情報を共有しつつ相互発展を目指し、最終的に地域内で経済を循環させることを基本とする。それは外部の影響を受けにくい持続可能な水産業の実現につながっていく。
番組では水産エコシステムとは何かということを解説しつつ、水産エコシステム実現にかける永石さんの思いやそれに賛同する関係者の姿を描く。

会社:F.デザインNAGASAAKI株式会社
代表取締役 永石一成
住所:長崎県長崎市鍛冶屋町3-7 さくらハウス403号室
電話:095-893-6860
HP:https://fdesignnagasaki.co.jp/

お店:旬彩ながや
住所:長崎県長崎市万屋町4-13 二葉屋ビル 3F
電話:0095-827-0077
HP:https://nagaya.owst.jp/

養殖業者:株式会社昌陽水産
長野陽司社長
住所:長崎県長崎市牧島町701番地

取材後記

飲食店を経営しているひとりの料理人が、地域の水産業の流通システムを新たに提唱し、しかもそれが形になって動き出そうとしているという状況に興味を覚え、「なぜ料理人が?」「どんなシステムを?」という部分をお伝えできればと思い取材を始めました。

しかし「水産エコシステム」そのものに関しては、これから本格的な活動を開始しようとしている段階であり、実際に撮影できるものがほとんど無く、事前に分かっていたことととはいえ「これで番組になるのだろうか?」と、取材を開始してからあらためて焦りました。

頼みの綱は、水産エコシステムのモデルケースとなった「ゆうこうシマアジ・ゆうこう真鯛」の事例。
若い養殖業者に話を聞くと、これまでのやり方では水産業が上手く回らない時代に入ってきているということは強く感じられました。
まだ小さな動きですが、生産者、流通業者、飲食・小売り業者、行政など、危機感を覚えている者たちが、業界の垣根を越えて手を組み、新しい流れを作り出そうとしています。
その辺りが伝わったのなら良いのですが、いかがでしたでしょうか?

そして、今回の裏テーマは「地域の課題を解決することが、やがては世界を救うことに繋がる」でしたが、そちらに関してはまだまだ私の力量不足でしっかり伝えきれなかったと反省しています。
 

(NBC長崎放送 柴山 公海)

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