豚熱感染 ワクチン接種に必要な獣医師が足りない 6万6000頭が対象の佐賀県
佐賀県唐津市で豚熱が確認され1万頭にのぼる豚の殺処分が続く中、佐賀県は感染拡大を防ぐためワクチン接種に向けた準備を進めています。しかし、接種を行うのに必要な獣医師が足りないという課題に直面しています。
1万頭の殺処分は8割が終了
佐賀県庁で6日午前9時から開かれた対策本部会議では豚熱が確認された唐津市肥前町切木の養豚場で行われている殺処分の状況などが報告されました。6日午前8時までに約1万頭の豚のうち8487頭を殺処分していて、作業は今月9日までに終わる見込みだということです。
必要なワクチンは確保できる見通し
九州7つの県が豚へのワクチン接種の推奨地域に追加されたことを受けて、佐賀県は県内の約6万6000頭にワクチン接種を行うため必要な計画を国に提出し準備を進めています。佐賀県によると、必要なワクチンは確保できる見通しですが、接種を行うのに必要な獣医師が足りないということです。
ワクチンの「打ち手」はいるが・・・
豚へのワクチンを接種は、獣医師のほか、必要な研修を受け養豚場の「飼養衛生管理者」に認定された者であれば可能です。ただ、飼養衛生管理者が接種する場合は、事前に獣医師が養豚場を調査し良好な衛生状態が保たれていることを認定しなければいけません。現在、佐賀県内の飼養衛生管理者は49人。県内にある養豚場29か所のうち27か所にいるほか、残る2か所もまもなく飼養衛生管理者が確保できる見通しです。打ち手はいる状況です。
事前に調査する獣医師が確保できていない
一方、打ち手が接種に着手できるために必要な手続きを行う獣医師は足りません。佐賀県内では6日午前8時現在、県外から多くの獣医師が応援に入り、あわせて98人が約1万頭の豚の殺処分に従事しています。ただ、この98人は今回の作業でウイルスを保有している可能性があるため、他の養豚場に出向き調査をしてもらうわけにはいきません。
県の担当者は、他の養豚場で調査をする場合は、一定期間を置く必要があると話します。もうひとつ考えられる方法は、殺処分に従事していない佐賀県内の獣医師7~8人が、約6万6000頭の豚にワクチン接種を行う方法です。この場合もかなりの時間がかかる見通しです。
他県に応援要請も検討
全国の生産量の3割を占める九州。佐賀県で感染が拡大する前に、一刻も早くワクチン接種を行う必要がありますが、いずれの方法でも時間がかかってしまいます。佐賀県は、今後さらに他県からの応援を要請するか検討しています。
"豚熱”飼育頭数3割を占める九州でも・・・
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この記事を書いたひと
野島裕輝
1990年生まれ 北海道出身。NHK仙台放送局などで約7年間記者として事件・事故や行政、東日本大震災などの取材を担当。その後、家族の事情で福岡に移住し、福岡県庁に転職。今年2月からRKBに入社。