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反わびさび!とがってアップデート

日本文化特有の美意識「わびさび」とは全く逆の世界観をもつ「だるま」と「招き猫」。制作するのは陶芸家・古賀崇洋さん(こがたかひろ 36)。作品を覆う無数の突起「スタッズ」は物に内在する力を可視化したもの、視覚、触覚にも作用がある形だという。

その古賀さんが影響を受けたのは「千利休」。黒茶碗を使うことでその存在感を無くし、茶を引き立てたという千利休に感銘を受け、あえて真逆の存在感を際立たせる「反わびさび」を掲げ制作を続けている。
その作品は華やかに見えるが伝統的な技法を採用。歴史的、文化的な背景を踏まえ古典への敬意のもとに成り立っているという。
また現代は“下克上の時代”、先の見えない現代でも、時代を切り開く意思と覚悟があれば出自に関係なく突出できるという願いをこめ完成したのが「頬鎧盃」。戦国武将の威嚇的な防具である「頬鎧」を器に仕立て、志高い現代人(武将たち)に向けてのエールを込めた作品だ。

その古賀さんへアメリカからラブコールが! マイアミ、ニューヨークで開催の展覧会へ出品が決まった。焼き物は何千年も残るもの、伝統の技を継承しながら、現代に生きる自分にしかできない作品を未来に残したいと語る陶芸家の思いを追う。

陶芸家 古賀崇洋さん
HP:https://takahirokoga.jp/

取材後記

スタッズに覆われた「だるま」に「招き猫」。その姿は斬新で先鋭的で、何よりも「かっこいい!!」というのが私の第一印象でした。今までにないそのとがった姿から、イマドキのアーティストさんが制作したもの?!と思われがちですが・・・・
実は歴史的、文化的な背景を踏まえ、古典への敬意のもと成り立っている作品ばかり。
古賀さんの尊敬する千利休とは、まったく真逆の世界観ですが、このくらい振り切った作品を作ることで、もっと「焼き物」に興味を持ってもらえればという思いが込められています。

需要の減少や後継者不足と、様々な問題を抱えている伝統工芸の世界で、次世代の若者たちのあこがれの対象になるような活躍ができたらいいなという古賀さん。
12月にはアメリカのマイアミとニューヨークで展覧会を行います。ニューヨークでは、アートの街「ソーホー」で、新進気鋭の人形師・中村弘峰さんと2人展で挑戦!
現代アートの先進都市で、どんな化学反応を見せるのか?!
古賀さんのとがった挑戦を、まだまだ追っていきたいと思います!
 

(RKB毎日放送 /谷口 あゆみ)

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