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高橋大輔スペシャルインタビュー(1)アイスダンスでの復活劇

今年5月にフィギュアスケート・アイスダンスの現役引退を表明した、プロフィギュアスケーターの高橋大輔さんが、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』に出演。旧知の間柄でもあるRKB毎日放送の田畑アナウンサーのインタビューに応じた。4回シリーズの初回は、1度目の引退、そしてアイスダンスでの復帰について当時の心境を語った。

1度目の引退後は「宙ぶらりん」

田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):久しぶりの福岡いかがですか。

高橋大輔さん(以下、高橋):めちゃくちゃね福岡大好きなので、かなりテンション上がってます。福岡の魅力は色。色がまず一番。それに観光地もいっぱいあるじゃないすですか。

田畑:それは嬉しい。早速ですが今年、競技生活2度目の引退がありました。アイスダンスの引退を決断したのは、どういう心境だったんですか。

高橋:引退を決断したのは去年の年末ぐらいには、考えていました。でも試合をやっていくとやっぱり楽しいですし、やりがいを感じていたんです。ただ、僕は昔、右膝をケガしてるんですけど、アイスダンスの基礎部分で必要な、「膝を粘る」ということが、自分では意識できない部分で抜けることがあって「これ以上、もう求められるものを自分は越せていけないな」って思っちゃったんです。気持ち的には次のオリンピックまでできればいいだろうなと思っていたんですが、そういったことが積み重なってやっぱり第一線で活躍するのは本当に難しいことだなっていうのを感じました。その一方で、1月にアイスショーをやらせていただいたんですけど、演出を任されて、それがすごく楽しくて。競技ではルールの中でやっていかなきゃいけないですけど、エンターテイメントとしてパフォーマンスすることでも、お客さんに伝わるものってできると思うんです。自分がこんなにも演出をすることが好きだったんだなっていうのに気づかされて、引退を決意しました。

田畑:2度目の引退ですけど、1度目のときと比べると心境に何か違いありますか。

高橋:心境は全然違いますね。一度目のときは2014年のソチオリンピックを目指していたんですけど、その後半2年間でうまくかみ合わなかったりとか成績が出なくなってきたりとか、下からすごい選手が上がってきて、どんどんスケートから気持ちが離れていってしまって「もう競技生活は無理だな」と思って引退しました。かといって次にやりたいことがないまま引退しちゃったので「これからどうすればいいんだ」と、精神的にもきついというか、宙ぶらりんな状態だったんです。でも、今回の引退は1回復帰するときから、次の方向性というか大きな目標が見えている引退だったので、全然違いますね。

アイスダンスの経験がショー演出の礎に

田畑:今はすっきりとした気持ちっていうことですよね。前向きな引退って感じ。アイスダンスにチャレンジしていた3年間って、振り返ってみていかがですか。

高橋:もうめちゃくちゃ貴重な体験でしたね。今まではずっと1人でやってきて、自分自身と向き合うっていう世界だったんですけど、パートナーを持つことによって、自分自身じゃなくて相手との関係性の構築であったりとか、そこからまだ学ぶ新しい自分に気づいたりとか。ぶつかり合うこともあったんですけど、人への物事の伝え方や人の話を聞くにあたって、自分も思い込みがあったり、後から聞いてみると全然理解できてなかったなとか、そういう新しい学びがめちゃくちゃあった3年間でした。これから演出もしていきたいと思っていますが、人への伝え方を学べたっていう部分でも、本当に自分にとってめちゃくちゃいい時間でしたね。

田畑:ソロのときって、コミュニケーションより自分自身のテクニックとか表現力とかそういうところに磨きをかける方が重きを置いてた感じなんですか。

高橋:そうですね。コーチからの指導やアドバイスはありますけど、そこを自分の中で解釈して、自分でやっていけばよかったんです。でも、ダンスとなると一緒に同じパフォーマンスをしなきゃいけないんで、自分だけが感じとっていても、伝わらないっていうか、いいものにならないっていう、全くベクトルが違うっていう感じです。

田畑:本当にアイスダンスって相当な体力を使うでしょうし、連携っていうのも大事でしょうし、緻密な角度で滑ってるじゃないですか。

高橋:歩くだけならその誤差には気づかないと思うんですけど、滑っているときに一瞬ちょっと間が開いただけでも違いますから、同じ「右」でも「頭を倒して右」なのか「腰を倒して右」なのかで、カーブの形も変わります。緻密な作業をずっとするという感覚で、頭をより使いますね。

田畑:でもどうして、2度目の競技生活の種目がアイスダンスだったんですか。

高橋:最初はシングルで復帰するつもりでした。たまたまパートナーの村元哉中ちゃんが前のパートナーと解消した直後で、新しいパートナーを探してるっていうお話があって、僕はそれを知らなかったんすけど、練習で一緒になった時に村元哉中ちゃんのコーチから「ダンス興味ないの? パートナー探してるんだけどどう?」みたいな感じで聞かれて「興味ありますけど」とは答えたんですが、彼女はオリンピアンだし、僕は初心者で、しかも年齢も33歳でしたし。フィギュアスケート界でいうと33はもう結構年齢上なので、そこから初心者の僕が新しいことをして、オリンピアンと同じレベルのアイスダンスを求められるって有り得ないよねって。けれど、半年ぐらい考えて、これから自分の中で必要な分野なんだなと思ったんで「よろしくお願いします」って。それで始めたんですけど、そこからいろんなことをまた学んではいきました。

(2)につづく

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