PageTopButton

てんぷら油が未来を動かすエネルギーへ

使用済みのてんぷら油が、高純度のバイオディーゼル燃料に生まれ変わります。
ディーゼル車を動かす軽油の代わりに使えて、植物由来のためCO2排出は実質ゼロカウント。軽油と比べ排気ガスもクリーンです。平戸市で浄化槽の維持管理を行う鶴丸設備の上田博之さん(41)が製造するのは、99.95%という高純度を誇る燃料です。


上田さんは24歳の時、プロサッカー選手としての道をケガで断念。アルバイト先だった鶴丸設備の社長の提案で燃料作りを始めました。原料は使用済みの食用油を飲食店や家庭から回収し、メタノールを反応させて作ります。当初はメーカーのマニュアル通りに作っても車を故障なく動かすための純度を達成できませんでした。各地に成功している製造者を訪ね、試行錯誤して独自の方法に辿り着きました。


「もし有事の際に海外から原油が届かない事態となっても、この燃料で動かせる車でケガ人を運べたら、人の命を救うことができる」


現在、この燃料は長崎空港で貨物や乗客の荷物を運ぶトーイングトラクターにも採用されCO2削減に貢献しています。てんぷら油から生まれた新たなエネルギーが活躍する場面が着実に広がっています。

会社名:有限会社 鶴丸設備
出演者:取締役 上田博之さん
住 所:長崎県平戸市大久保町1732-4
電 話:0950-23-3629

取材後記

鶴丸設備の高純度99.95%のバイオディーゼル燃料が動かすのはトラックやバキュームカー、重機や作業車。そうした「働く車」が各地の現場でバリバリ仕事をしてCO2排出削減に貢献しています。20年近く前、この燃料が注目され始めた頃の私には思いもよらない活躍です。

 

最初に鶴丸設備を訪れたとき、上田さんから「ひとつお願いがあります。僕を主役にしないでください。多くの人が助けてくれたからできたことなので」と言われました。サッカー青年がバイオディーゼル燃料という未知の世界に飛び込んだ時、アルバイト先の社長や地元の人たちが支えてくれただけでなく、同業の製造業者たちまでもアドバイスをしてくれたそうです。

 

上田さんが人懐っこい人柄だから?それだけでなく「人の助けになるものを必ず作りたい」と試作を何百回と繰り返したという熱意=エネルギーが人を動かすのだと、あらためて感じました。


(NBC長崎放送/栗原 紀子)

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう