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7歳の瞳に映った景色
涙を流す大きな目、その中には戦車が描かれています。左側は太陽が降り注ぎ、おもちゃがカラフルに描かれているのに対し、右側は色がなく、戦争によって破壊された建物が描かれています。わずか7歳の子供が目に映る景色を感じるままに表現しました。
イレーナ・バランさん
「若者やその親でも戦争は何かを説明することは難しいんです。しかし子どもたちは、絵を使って戦争の感じ方、戦争とは何なのかを、説明しました。絵を見ると、子どもたちの感情が壊れていることがはっきりと分かります」
絵のない額縁も展示
会場には絵がない額縁も展示されています。
イレーナ・バランさん
「多くの子供達が殺されたり怪我をしたりして自分の物語を書くことができません。額縁だけの絵のない絵画は、あらゆる世代の、すべての人々に、戦争がもたらす結果を端的に説明しています」
絵を描いた子供たちは今…
絵を描いた子供達は今どうしているのでしょうか。子供達が通う西部テルノーピリの学校の先生が、現地から取材に応じてくれました。この学校には、戦闘の激しいキーウなどの東部や南部から避難してきた子どもたちも通っています。
歴史を教えるラレサ・トマシェフシュカさん
「子供達の精神状態、状況は非常に深刻です。東部や南部にいるほど危険ではありませんが、それでも空襲警報がない日は週に1日2日だけです。子供たちは、家族や友人を含む人の死を目の当たりにしており厳しい状況です。大人から小さな子供まですべての人が戦争が終わること、ウクライナの勝利で終わることを願っています」
「戦争のないウクライナに戻りたい」
子供たちの絵を集めたイレーナさん自身も、まだ22歳。戦火のない日本に避難した今もなお、祖国や大切な人を案じる、不安な気持ちが晴れることはありません。
イレーナ・バランさん
「私は戦争中ではないウクライナに戻りたい。次の空襲警報がいつくるかをパニックに陥りながら待ち、1時間ごとにニュースをスクロールしてすべてが大丈夫か確認しなくてもいい毎日に」
「現地のこどもたちが描くウクライナ展」は、北九州市立美術館分館で2月19日まで開かれています。(入場は無料)
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この記事を書いたひと
下濱美有
1996年大阪府生まれ。2019年入社。本社報道部で事件取材担当後2020年~北九州市で警察・司法・市政を担当。得意分野は芸術。