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令和の琵琶弾き

熊本県に古くから伝わる肥後琵琶。かつて目が見えない僧侶たちが日銭を稼ぐため、長編物語を語りながら弾いていた伝統的な楽器だ。その肥後琵琶の世界に魅せられた人がいる。岩下小太郎さん(33)。

 

喜怒哀楽を物語に重ねて、力強く感情豊かに語る一人芝居のような演奏に魅せられ、肥後琵琶奏者の後藤昭子さん(70)の元に弟子入りした。そこで痛感したのは肥後琵琶存続の危機。現在活動している奏者は全国でわずか3人。岩下さんがその最年少奏者だった。

 

肥後琵琶を次の世代につなげなければと考えるようになった岩下さんは、勤めていた会社を辞めて地域おこし協力隊として南関町に移り住んだ。ここは最後の琵琶法師と呼ばれた山鹿良之氏の故郷だ。南関町役場で琵琶の調査や資料作りに励み、週末は県内外での演奏会へ。

 

念願だった‟琵琶漬けの日々”を送る岩下さんだが、協力隊の任期が残り1年となった今、将来への不安を抱えていた。琵琶奏者としての独立を夢に見ながらも、演奏者としての収入だけでは食べていけないのが現実。南関町に残るか実家の農業を継ぐか…悩みながらもひたむきに活動を続ける姿を追った。
 

(制作:RKK熊本放送/堀田 結生)

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