種の里帰り
鹿児島大学に勤める大阪府出身の中野八伯さん(43)は、伝統野菜の種をあつめ、子どもたちに伝える活動を行っている。伝統野菜とは、日本全国各地で古くから栽培されている「在来種」のこと。固有種とも呼ばれる。
しかし、戦後の復興や経済成長に求められた「大量生産大量消費」といった時代の流れに見合わなくなってしまったため、生産者が激減。形も大きさもバラバラで一般的なスーパーマーケットに並ぶことはほとんどない。
さらには高齢化に伴い、限界集落が増える中で、地域の伝統野菜は消滅の危機。そこで中野さんが立ち上げたプロジェクトが「種の里帰り」だ。
これは、その地域に残る伝統野菜の種を小学校などで教材として使ってもらおうというもの。種まきから収穫まで一連の栽培方法を学ぶ一面と、それぞれの野菜に残る歴史やエピソードも子どもたちに伝える一面を持つ授業。
伝統野菜の記録が残る地域を訪ね、種を譲り受けてもらうところから始めた。集めた種の種類は130以上、賛同する学校も小学校から短大まで10を超える。授業を楽しみにしている生徒も多い。
「先祖の命をつないできた野菜を残したい」という中野さんの取り組みを追いかけた。
(制作:MBC南日本放送/七枝 大典)
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