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古い町家がうむ新しいまち

「和華蘭(わからん)文化」江戸時代に海外との貿易の窓口となっていた長崎で、日本(和)、中国(華)、西洋(オランダ・蘭)の文化が混ざり合い、独自の文化が育まれてきたこと示す言葉だ。100年に一度の変革期を迎えていると言われる長崎市でまちの姿が大きく変わりつつある中、和の文化を残す“町家”をまちづくりにつなげようという男性がいる。

 

建築設計や施工などを手がけるHAG環境デザインの橋口剛代表(55)は「人とまちに愛される建築を」がモットーだ。趣味の旅行で海外を訪れた際に、古い建物や文化を大切にしているまちなみに魅力を感じたという橋口さん。長崎で築120年ほどの古い町家の改修にも携わり、その中で大工や左官の職人たちと一緒に土壁ワークショップを開いて、伝統の建築構法を若い世代に伝えている。


長崎市は「和のまちなみ」を作ること、そして町家を活用した賑わいを生み出すことを目的に、町家の保存・改修に対する助成金制度を進めている。古い町家風の建物が建ち並ぶエリアは外国人観光客にも好評で、新たな観光資源になるとも考えられている。伝統的な町家と新時代の建物が共存するような魅力あるまちづくりを目指す、橋口さんの取り組みを伝える。

企業名:HAG環境デザイン
住 所:〒850-0862 長崎市出島町10-15日新ビル205
電 話:095-895-5977
ホームページ:https://hag.co.jp/

取材後記

長崎は「異国情緒あふれる」という言葉で表現されることが多いまち。そんな長崎で今少しずつ広がりを見せているのが、和の伝統「町家」風の建物です。今回の番組のきっかけは、市民や高校生を対象にした町家での土壁ワークショップを取材したことでした。

 

日本建築の伝統工法を伝えるというイベントで、詳しく話を聞けば、長崎の町家文化を後世まで残すという思いもあるとのこと。建築主と建築士と職人たちの熱意を感じ、町家の改修から完成までを映像で記録したいと思いました。主人公の橋口剛さんと大工職人の池上さん、左官職人の田崎さんは、以前にも住宅建築でタッグを組み、グッドデザイン賞を受賞したことのあるチームです。

 

築120年の町家の改修では、橋口さんの建築設計をベースに、池上さんが手刻みで木材を組み上げ、田崎さんが土壁を仕上げる。それぞれの匠の技で建築主の思いを形にしていきました。橋口さんのモットーは「人とまちに愛される建築を」時代が移ろい、まちの姿が変化する中で、これからどんな建物をこのまちに残していくのかが楽しみです。
 

(NBC長崎放送/河野 智樹)

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