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ニューオータニ博多「大観苑」の元料理長が作る高級中華をオープンキッチンで堪能

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オープンキッチンの店には、他にない突出した長所がありますよね。五感をくすぐる音、香り。目の前で繰り出されるプロの美技に、料理人との気さくな会話。常に熱々の出来たて料理──。これほど楽しい食空間が他にあるでしょうか?
そうした無類の悦びが、この春オープンした「上海厨房 龍虎」でも味わえます。福岡では極めて稀な、オープンキッチンを持つ高級中国料理店。中華の魅力をさらに広げてくれそうな期待の新星です。

龍虎店内

場所は昼なお暗く、静けさ漂う西中洲。しかもビル1階の最深部とあって、「龍虎」の隠れ家感はかなりのものです。プライベートな会食にも良さそうですね。
中に入ると、噂のオープンキッチンが誇らしげに輝いていました。付随する6人掛けのカウンターは、シェフのパフォーマンスを間近で見られる特等席です。

「以前から、お客様と気軽に触れあえる店をやってみたくて。その想いをここで形にしました」とシェフの久光弘悟さんが話します。ホテルニューオータニ博多の中国料理店「大観苑」に在籍し、上海料理をベースに研鑽すること23年。最後の10年は料理長も務めたベテラン職人です。そのキャリアはもちろん、柔和な笑顔と紳士的な物腰に安心感を覚えるのは僕だけではないでしょう。

龍虎前菜

さて、今宵は12,000円コースを予約。アミューズ後には前菜が振る舞われ、温かな色彩と優美な滋味にたちまち心を掴まれます。
ノリタケの皿に乗った顔ぶれは、天使の海老の紹興酒風味、約15種の調味料で仕込んだよだれ鶏、上海名物の豚腕肉ゼリー寄せ、おかひじきの湯葉巻きなど6種類。真面目に仕立てた上質な品々が、シェフの歓待の気持ちを雄弁に物語っていました。

龍虎エビチリ

続いて海老の2種仕立てがお目見えし、まずは海老チリソースを賞味。プリップリの海老に、まろやかな辛さのソースが絡んだ瞬間、リッチな風味が鼻腔を駆け抜けます。
もう一つは長崎名物の「ハトシ」風。芝エビとトウモロコシのペーストをパンに塗り、アーモンドをまぶして揚げたものです。多彩な香りと歯触りが面白い、アテとしても優れた一品でした。

龍虎フカヒレ

そして、「やっぱりこれがなくちゃ!」と心躍ったのがフカヒレ料理。高級なヨシキリザメの胸ビレを1枚使い、ウニまで乗せた豪華版です。ウニはスープにも使われ、濃厚な飴色のスープにさらなるコクを与えています。
「大観苑の看板料理でしたから、私も力が入りますね」と久光さん。「広東料理では蒸したフカヒレにスープをかけますが、上海料理ではすべて1つの鍋で煮込むため、よりスープとの一体感が強いんです」。その言葉に違わぬ旨味の渦を、ゆっくりじっくり味わいました。これぞ千両役者の風格ですね。

龍虎肉料理

言うまでもなく、肉料理も深く染み入る味でした。この日は鹿児島県産牛ヒレ肉のブラックペッパーソースがけ。絶妙な柔らかさでソテーしたヒレ肉とソースの相性は完璧です。ソースはやや濃いめですが、付け合わせの野菜と食すとベストな味になるよう計算されています。
砂糖や様々な醤を多用し、煮込みも多い上海料理はしっかり満足感が残るのが特徴。なのに久光さんの料理には、中華特有の重苦しさをほぼ感じさせないバランスの妙が光ります。この後の丼か麺を選べる食事では、僕自身「ちょっぴり多めで」とリクエストしたほどでした。

龍虎店主 龍虎テーブル席

最後にデザートを平らげてコースは終了。食材の野趣を残しつつ、熟練の技でしか出せない透明感ある味に喝采やまぬひとときでした。
事前に下準備を完璧に済ませ、本番では流麗に調理を行う久光さんの姿も見事なエンターテインメント。刻々変化する華やかな香りや、油が爆ぜる音やも深く記憶に刻まれます。そう、こんな極彩色の体験があるからオープンキッチンは最高なんです。新たな中国料理の名店誕生に祝福を!

なお、カウンター以外にも最高6名までのテーブル席を完備。ゆっくり会話したい時などはこちらへどうぞ。

上海厨房 龍虎(ロンフー)
福岡市中央区西中洲3-21 AG西中洲1F
092-791-9650要予約

店舗名:上海厨房 龍虎(ロンフー)
ジャンル:中華料理
住所:福岡市中央区西中洲3-21 AG西中洲1F
電話番号:092-791-9650 要予約
営業時間:17:00~22:00
定休日:日祝日、第2・4月曜
席数:カウンター6席、テーブル6席
個室:なし
メニュー:ディナーコース12,000円・22,000円
URL:https://www.instagram.com/nishi.nakasu_long_hu/

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