9月に開業する西九州新幹線への期待が高まる一方で、JR九州は福岡・北九州の都市圏を走る在来線の減便を打ち出しました。新型コロナによって鉄道事業は厳しい状況が続く中、JR九州は、今後どのような経営を進めていくのか?会社のトップに就任した古宮洋二社長に話を聞きました。
JR九州の古宮洋二社長59歳です。8年ぶりとなるトップの交代人事で、今年4月に社長に就任しました。
RKB三浦良介「社長就任から2か月ですけども、いま改めてどういったお気持ちですか?」
JR九州 古宮洋二社長「ジェットコースターみたいな2か月間で、あっという間に過ぎたなと。世の中的にはコロナの感染も少し収まりつつあるし、私どもの会社としてもいろいろ明るくなっているなというイメージはあります」
JR九州の昨年度の決算は、3期ぶりの増収で純利益が132億円、2016年度の株式上場以来初の赤字となった前の年度から、1年で黒字に転換しました。しかし、売上高はコロナ前の7割程度、主力の鉄道事業は220億円の赤字でした。
JR九州 古宮洋二社長「9月23日に予定されている西九州新幹線の武雄温泉から長崎の開業というのは、一番大きい起爆剤と思っています。今年度につきましては、鉄道事業もギリギリ黒字を達成できる、いや、これは是非しなければいけない」
新型コロナによってテレワークや時差出勤などが広まり、鉄道事業は依然として厳しい状況が続く中、JR九州は今回、秋のダイヤ改正で都市圏の一部減便を打ち出しました。
JR九州 古宮洋二社長「お客さんが少なくなっている時間帯とかございますので、それに合わせて少し列車ダイヤについては検討が必要かなと思っています。コロナ禍でいろいろ勉強した中での経費削減策も出てきておりますので、それを今年度きっちり対策していく」
事業の立て直し策として、JR九州が力を入れているのが鉄道の効率化です。古宮社長は入社以来、鉄道部門の仕事が最も長く、AIを活用した運行ダイヤの見直しや自動運転のプロジェクトを立ち上げてきました。
JR九州 古宮洋二社長「未来の鉄道というのは、どういうことであるべきか。例えば、改札口はカメラで顔認証で通過できるというようなことも、私は十分考えられると思っております。自動運転は一つ大きな柱と思っていまして、最新の技術を活用すればもっともっと効率的で、もっともっと安全な業務ができる」
RKB三浦良介「減便とか無人化という話になると、利用客からすると不安な部分も出てくるんですけど、そこはどのようにお考えですか?」
JR九州 古宮洋二社長「未来の鉄道となると、無人化みたいなイメージがあると思いますけど、私は違うイメージで、いわゆる人がやる仕事と機械がやる仕事、これをうまく分けて、鉄道としてちゃんと自立していけるようなそういう体制を作っていきたい」
駅の無人化などを進める一方で、古宮社長は沿線自治体との関係を密にして、共に課題を解決しようと「地域戦略部」という新たな部署を立ち上げました。トンネル工事などの技術を生かし、公共工事にも積極的に参入したいとしています。
また、九州北部豪雨で被災したJR日田彦山線に導入予定のBRT=バス高速輸送システムについては、地域住民らの意見を取り入れるようにしました。
JR九州 古宮洋二社長「地元の方々にアンケートを取りました。本数が少ないとか家から駅が遠いとか、いろんな問題点が出てきました。例えば、商業施設があるところとか公民館があるとことか、ここにバス停があったらいいなということも、だいぶ見えてきました。地元に密着した乗り物になって、地元から愛されるBRTにしていきたい」
JR九州は国鉄から民営化されて以降、不動産や物流、飲食業など積極的に経営の多角化を進めてきました。今年3月に発表した中期経営計画は、鉄道を中心としたまちづくりと人の流れに依存しない事業を積極的に広げることを目指していて、今後3年間で3400億円を投資します。
不動産事業でみると、福岡インターチェンジの近くに2階建ての物流倉庫を建設するほか、西九州新幹線の嬉野温泉駅の近くには、全室にかけ流しの風呂がついた高級旅館が計画されています。
不動産事業でみると、福岡インターチェンジの近くに2階建ての物流倉庫を建設するほか、西九州新幹線の嬉野温泉駅の近くには、全室にかけ流しの風呂がついた高級旅館が計画されています。
鉄道事業の効率的な見直しと、そのほかの事業をどう強化していくか?これからの経営について古宮社長が考えるキーワードを聞きました。
JR九州 古宮洋二社長「私のキーワードは『積極果敢』です。成功の反対は失敗ではない。成功の反対は何もしないこと。既存の事業にとらわれずに、新しいことにもどんどん挑戦していく。いろんなことにチャレンジすることが、私は大切だと思っています」
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