PageTopButton

医療提供と患者のバランス崩れ「災害モード」に~福岡の基幹病院の欠勤120人に

新型コロナウイルスの「第7波」による医療ひっ迫が深刻化しています。福岡大学病院では120人以上のスタッフが感染、または濃厚接触者となり出勤できなくなったことから2病棟を閉鎖しています。

また、重症患者用の病床も6床のうち4床が埋まり、予断を許さない状況となっています。  

人工肺エクモで治療

福岡大学病院の救命救急センターに運ばれてきたのは、新型コロナウイルスに感染した40代の女性です。

別の病院で療養していましたが容体が急変。人工呼吸器だけでは対応できず体外式膜型人工肺=エクモをつけなければならなくなりました。
担当医師「エクモがないと亡くなってもおかしくない状況だったので、エクモで何とか命をつないでいる」
福岡大学病院の救命救急センターにある重症患者のための病床は6床です。8月1日はもう1人「エクモ」が必要な重症患者を受け入れ、4床が埋まりました。

さらに重症患者の受け入れ要請がありましたが、十分な医療提供が難しいとして受け入れを断念しました。苦渋の選択です。
福岡大学病院救命救急センター・石倉宏恭教授「今の態勢の医療従事者のマンパワーでは対応できない。もう1名引き受けたとしたら医療の提供が薄くなってしまう。本来であれば受け入れたい」

感染や濃厚接触でスタッフが足りない

重症患者への対応以上に深刻なのが、医療の現場の人手不足です。

医療スタッフに陽性者や濃厚接触者が相次ぎ、1日時点で120人が欠勤しています。
石倉宏恭教授「通常の医療提供と患者さんのバランスが崩れてきている。災害の時はそういう状況になるのですが、まさにこのバランスが崩れるということは災害モードになってきていると断言していい」
福岡大学病院は、スタッフ不足から先週、病棟をひとつ閉鎖していましたが、新たにもうひとつ病棟を閉鎖しました。

これにより計60の病床が使用できなくなっています。
石倉宏恭教授「一般の入院の方を含めて入院したくてもできない事態。きょう重症にになって来た方は40代の方ですので、全年齢を通じて行動を自分で制限して感染をしない、これ以上陽性者を増やさないことに取り組む必要がある」

ほとんどのスタッフが家庭内で感染


福岡大学病院の医療スタッフは約1900人です。6%にあたるスタッフが出勤していない計算です。

福岡大学病院によると、ほとんどのスタッフが職場内での感染ではなく家庭内で感染しているということです。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう