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追悼・森崎和江さん 伝説のドキュメンタリーがよみがえる

追悼・森崎和江さん 伝説のドキュメンタリーがよみがえる

詩人・作家の森崎和江さんをしのび 放送へ

詩人・作家の森崎和江さんが6月15日、逝去されました。文学史に大きな足跡を残した森崎さんを追悼し、RKB毎日放送は森崎さんが番組制作に参加したドキュメンタリー『まっくら』と『祭りばやしが聞こえる』を、8月14日の深夜、一挙放送します。番組ナビゲーターは、田中みずき(RKBアナウンサー)です。

『まっくら』『祭りばやしが聞こえる』連続放送

RKB毎日放送

8月14日(日)深夜 25時55分~28時25分
 (=15日(月)午前1時55分~4時25分)

RKBの至宝 木村栄文のドキュメンタリー

両作品とも、RKBのドキュメンタリスト、木村栄文が制作しています。森崎さんは出演しただけでなく、番組構成やナレーション原稿の執筆などで制作に深く関わり、時を経ても古びない名作となりました。

衝撃の異色ドキュメンタリー 『まっくら』

森崎和江さんの著作『まっくら 女坑夫からの聞き書き』(1961年)に着想を得て、炭鉱の閉山が相次でいた時期に筑豊を描いた1973年制作の番組。森崎さんは、クレジットに「構成」と表記されている。

だが、ドキュメンタリー番組に登場する人々のほとんどが、プロの俳優……筑豊のボタ山にRKBのヘリコプターで舞い降りるぶしつけなレポーター役は、木村本人が演じる。

「これは、ドキュメンタリーと言えるのか?」

斬新すぎる演出は賛否両論を巻き起こし、日本のドキュメンタリー界に大きな衝撃を与えた。

役者が演じているのはもしかすると、地の底で命を失った人々の怨念かもしれない。それとも、エネルギー革命により打ち捨てられた誇りか。筑豊にかつて存在していた生の濃密さのようなものかもしれない。

カメラでは撮れないものを、木村は役者を使って映像表現したようにも見える。「なぜ、これがドキュメンタリーではないのか?」と、木村は問いかけているようだ。

出演は、常田富士男・白石加代子・筑紫美主子・上野英信ほか。

リアル「フーテンの寅」『祭りばやしが聞こえる』

筥崎宮(福岡市東区箱崎)の秋祭り、「放生会(ほうじょうや)」を主な舞台に、露店商(テキ屋)の姿を描いた1975年制作の番組。文化庁芸術祭で優秀賞を受賞。

旅から旅へ、浮き草稼業の露天商は歌人の顔も持つ。文学を愛するこのテキ屋は、レポーター役の森崎和江さんを「先生」と呼び、親しく語り合う。

この番組にも、木村ディレクター本人が登場する。露天商の懐に飛び込んで、普段は表に出てくることのない言葉を引き出していく。

「わたくし、生まれついての口不調法者です。申し上げまする仁義、間違えましたら真っ平ごめんなさい。わたくし、生まれ育ちも九州、南の果て薩摩路、鹿児島の住人です」

“まわりメンツ”と呼ばれる昔ながらの「仁義」を、木村の前で切って見せるテキ屋。この番組に登場するのは、まさにリアル「フーテンの寅」たちだ。

暴力団対策法が施行される前の、消えつつあるテキ屋の世界が、克明に記録されている。放生会でテキ屋を見て、木村に番組化を提案したのは森崎さんだった。番組クレジットには「作」と表記されている。

ドキュメンタリー界の伝説的存在 木村栄文

1935年、福岡市生まれ。
59年に西南学院大学商学部を卒業後、RKB毎日放送に入社。多彩なテーマと自由奔放な作風で、数多くのドキュメンタリー番組を制作した。
文化庁芸術祭賞、ギャラクシー賞、放送文化基金賞、日本民間放送連盟賞など、数多くのテレビ賞を受賞したことから「賞獲り男」と呼ばれた。

1994年には、NHK衛星第2で『木村栄文の世界』と題した特集が組まれ、『まっくら』など6作品が連日放送された。

2003年にRKB毎日放送を退社。

2006年、NHK「ETV特集」で、『もういちどつくりたい~テレビドキュメンタリスト木村栄文の世界~』が放送される。

2011年3月22日、心不全のため逝去(享年76)。

翌2012年には、「公開講座 木村栄文レトロスペクティブ」と題した大規模な回顧上映が、東京・大阪などで催された。

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