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天神ランチ事情 行列に並ぶ?テイクアウト?~「天神ビッグバン」で移転・閉店も多く 

福岡市の再開発事業「天神ビッグバン」に伴い、ビルの建て替えが進む一方で、移転や閉店する飲食店も多くあります。天神で働く人たちのランチ事情を取材しました。  

ビル建て替え中で客減少

RKB川内信江「お昼になりました。ランチに向かう人が続々と出てきています」

福岡市天神のオフィス街です。平日のランチタイムになると、周辺にある人気の飲食店はすぐに満席となり、行列ができます。その中の一つ、福岡市役所前にある「そば処みすゞ庵」。1952年創業の老舗で、人気メニューはカツと出汁の相性が抜群の「カツカレーそば」と3種類の蕎麦が楽しめる「お宝」です。連日、多くの客で賑わっていますが、「天神ビッグバン」の影響で以前に比べるとお客さんは減っているといいます。
Q天神ビッグバンが進んでいますけど、お客さんはどうですか? みすゞ庵 小旗三保子代表「影響ありますよ。勤めている方がいらっしゃらなくなったんだから、例えば西鉄の社員が10人くらいどっと来ていたのがいらっしゃらなくなって、ビルがあったときに比べたら、売り上げが落ちていますもんね。新しいビルができるのは4年ぐらいかかるからね、影響は大きいですよ」

5つのビルで約50店が…


福岡市の再開発事業「天神ビッグバン」に伴い、西鉄の本社があった福ビルと商業施設の天神コア・天神ビブレは取り壊され、地上19階、地下4階の複合ビルに建て替えられています。また、イムズやジュンク堂書店があったメディアモール天神なども建て替え工事が始まっていて、これらの5つのビルだけでも約50店舗の飲食店が姿を消しました。
街の人「困っています。食べるとこがないです。福ビルも天神コアもなくなったから一気になくなった」「すごく混んでいるなという印象がありますね」「おいしい店は結構あるんですけど、やっぱりすぐ行ける店というのが限られてきているかもしれない」「勤務先が福ビルのそばなんで、あそこの地下にたくさん入っていたんですよね。建て替え中なので遠くまで行かないと食べられない」

行列の店も


天神という地名の由来となった水鏡天満宮の隣の路地にある「真」です。お昼のメニューは鯖の片身を丸々一枚焼いた焼鯖定食のみですが、連日、お昼時には行列ができる人気店です。そのほかにも、とり天やカレーの専門店などが軒を連ねるこの一画も、西鉄などが中心となって再開発が検討されています。
福岡市 高島宗一郎市長「行きつけのランチがなくなるというのは本当に寂しいし、実際不便もあろうかと思います。ただこの時期というのは過渡期の苦しみいとうことで、当然オフィスがそれだけたくさんできるわけですし、また商業エリアもできるわけですから、新しいランチができる場所でぜひ楽しんでいただきたいと思います」

自虐的に「ランチ難民」と


福岡のグルメについて長年取材する情報雑誌「シティ情報ふくおか」の小宮編集長は、天神の今のランチ事情について次のように話します。
シティ情報ふくおか 小宮のりこ編集長「行こうと思っていた店に行列ができていて諦めて、次に行こうと思っているうちにどんどん時間が過ぎていって、食べられないかもしれないという焦りから「ランチ難民」と自虐的に言うことはありますね」

テイクアウト派も


お昼休みの時間は約1時間。移動や食事の時間を考えると、会社から離れた店や10分以上並ぶ店は行きづらいと言う人も少なくありません。
街の人「お店が少なくなっているんで、コンビニとか使う頻度は増えたかもしれないですね」「このへん食堂があまりないのと、時間がなくてあまり外に買いに行けないので、ここだったら会社からも近いですし、パッと持って帰れて、パッと食べて仕事ができますんで、週に2、3回は来ていると思います」
また、飲食店の減少とともに物価高の影響もランチに及んでいます。
シティ情報ふくおか 小宮のりこ編集長「物価が上がっているので、ランチの値段もちょっと上がっている。昔だったらワンコインランチとか気軽に食べられるお値段のランチもあったんですけど、800円、900円しちゃうような感じになっていて、下手したら1000円超えしちゃうんだけど、日常使いのサラリーマンの味方というのがちょっと減ってきて大変ですよね。給料は上がらないのに」

「あなたのランチ予算は?」


RKBが天神で働く人100人にランチの平均予算を聞いたところ、800円から1000円と答えた人が61人で最も多い結果となりました。
街の人「1000円前後出さないと、なかなか食べられない」「高いなって感じ。でもまぁしょうがないかな」「値上がりしている気がします。200円から300円上がっているような気がしますけど」

財布にやさしい弁当も


正午前の福岡市役所です。飲食店のスタッフが、次々と弁当を運んでいます。福岡市役所では3階から8階と、10階から14階のあわせて11のフロアで弁当の販売を行っています。お昼休みのチャイムが鳴ると、すぐに長蛇の列ができます。メニューも豊富で、値段も400から550円と財布にもやさしくなっています。
RKB三浦良介「福岡市役所の15階はかつて食堂でしたが、現在は非常時に備えた災害対策本部室になっています」
福岡市役所には以前、職員や市民が利用できる食堂があり、定食やうどんなどを500円以下で提供していました。しかし、2013年のアンケートで「普段から利用している」と答えた職員が1割未満にとどまったため、去年3月に営業を終了。今年1月からは災害対策本部室として活用されています。
福岡市 岩倉りえ防災推進課長「気象情報ですとか、現場からあがってくる被害情報等、そういった情報を収集、集約いたしまして迅速な災害対応を行うためのスペースになっております。(Qお昼ご飯はいつもどうしていますか?)コンビニで買ってきたものを食べています。(Q食べには行かない?)行かないですね、面倒くさいからです」

新ビルの飲食ゾーン

再開発によって庶民的な食堂や馴染みの店が姿を消す一方で、新しい飲食店もオープンしています。天神ビッグバン第1号のビル「天神ビジネスセンター」の地下2階に誕生した飲食ゾーンは、ビルが面する「因幡町通りの地下」にちなみ「天神イナチカ」と名付けられました。ミシュランガイドの星付きレストラン「sio」が手がけるカジュアルイタリアンや、東京・渋谷で人気の生ハムイタリアンなど、12店舗のうち4店舗が九州初進出です。
エフ・ジェイエンターテインメントワークス 元兼政樹さん「サラリーマンの方、若い女性の働いているお客様をよくお見かけいたします」
新天町商店街など、新たな再開発の計画案が相次いで発表される天神地区。数年後のランチタイムはどのように変化しているのでしょうか?

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