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福岡県大任町は公共工事の入札結果を公表せず、国から「法律違反だ」として改善を求められています。その大任町に、田川市と田川郡の8つの自治体が共同でごみ処理施設の建設を進めています。この施設をめぐっても情報公開の姿勢が厳しく問われています。
質問に答えない永原譲二・大任町長
RKB今林隆史「これから始まる組合議会を前に、関係者が続々と集まっていますが、なぜか傍聴は許可されていません」
田川地区の8つの市町村が共同で、ごみ処理施設の建設事業などを行っている田川郡東部環境衛生施設組合。組合長は、大任町の永原譲二町長です。
傍聴不可「後ろめたいことがあるから」?
RKB今林隆史「おはようございます。きょうはどうして傍聴できないんですかね。永原町長、なんできょう傍聴できないんですかね」
傍聴不可「後ろめたいことがあるから」?
永原町長はアルコール消毒をせずに入っていきましたが、組合の議会は「新型コロナの感染拡大防止」を理由に傍聴を認めませんでした。福岡県がコロナ対策として行動制限を求めていない中での、傍聴拒否。永原組合長が町長を務める大任町議会の委員会も、感染対策を理由に傍聴を拒否しています。
市民オンブズマンが、コロナ対策が強化されていた2020年に調査したところ、議会を傍聴できない自治体はあったものの、モニターやインターネット中継で見ることができるようにしていたところがほとんどだったということです。
市民オンブズマンが、コロナ対策が強化されていた2020年に調査したところ、議会を傍聴できない自治体はあったものの、モニターやインターネット中継で見ることができるようにしていたところがほとんどだったということです。
市民オンブズマン福岡 児嶋研二代表幹事「今どき、議会の傍聴を禁止している議会なんて聞いたことがありません。傍聴ができないということは、やはりこれは何か後ろめたいことがあるから隠そうとしているとしか考えられないと思います」
会議後の「議事録」も出さず
大任町が主導して建設を進めている組合のごみ処理施設について、これまで市町村の議員らから「不透明だ」という声が相次いでいました。ごみ処理事業についてRKBが「情報公開は十分か」と尋ねたところ、田川市郡8市町村のトップは、全く同じ文面で回答を送ってきました。
「次回の組合議会にお越しいただき、傍聴いただくことは可能でございます」しかし、その約束は守られませんでした。さらに、会議の議事録を見ることができるか組合に尋ねたところ「文書は出さない」と拒否されました。
市民オンブズマン福岡 児嶋研二代表幹事「やはり議会を公開しない、傍聴もできないっていうのは、全く許せない暴挙だと思います。国からも県からも補助金が出るわけですから、ある意味私たち市民全員からの補助金が出ているわけですから、これは全国民に対して公開されなきゃいけない」結局、会議室前の廊下まで入ることができましたが、傍聴は認められませんでした。
組合の議員も「ちょっと変だ」
22日の組合議会では、ごみ処理施設の建て替えに備えた土地に運動施設をつくる方針が示されました。しかし、組合の議員が必要な費用について質問したところ、永原組合長は「大任町議会で議決している」として回答しませんでした。
質問した組合の議員 柿田孝子田川市議「ほかの議会でもちゃんと説明しているからと言われたんですけど、ちょっと私も変だったかと思う」
入札結果公表しない町長に「違法状態」県知事が改めて指摘
大任町の議員によりますと、詳細について町から聞いていないということです。ごみ処理施設の建設事業を主導する大任町の永原町長に対しては、工事の入札結果を公表しない法律違反を続けていることに、国が繰り返し改善を求めています。福岡県の服部知事も22日、改めて町の対応を注視する考えを示しました。
服部誠太郎・福岡県知事「違法状態にあるという認識は変わっていません。引き続き大任町に対しては、この違法状態を解消されるよう、大任町ともお話をしていきたいと思っています」
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この記事を書いたひと
今林隆史
1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。