ポスターを芸術へ“アール・ヌーヴォー”の画家ミュシャ　作品を広告に積極的に利用した初の芸術家

１９世紀末のヨーロッパで一世を風靡した画家、アルフォンス・ミュシャの展覧会が、福岡市美術館で開かれています。ミュシャのポスター作品の秘密に迫ります。


◆装飾文様のような豊かな髪
優雅にたばこをふかす女性。ミュシャが手がけたポスターの代表作「ジョブ」です。１８９６年にタバコの巻き紙を宣伝するために制作されました。女性の豊かな髪の毛先は装飾文様のようで、ミュシャの特徴的な画風が表れています。

ミュシャ展コーディネーター　ヴァレンティン・ズウィニョウスキーさん「彼は商品ではなく女性、装飾が重要でした。商品はメインではないんです」


◆広告の商品はあえて小さく
広告用のポスターなのに紹介する商品を大きく打ち出さない戦略は、他の作品にも見られます。

ヴァレンティン・ズウィニョウスキーさん「ビールはたったこれだけです。女性、花、スパゲッティのような髪、装飾。これがまさにミュシャらしい作品です」

ビールを持った女性。よく見ると髪飾りにはビールの原料となる大麦とホップ、腰にはビールのラベルをつないだベルト、そして背景にも蔦状のホップが描かれています。


◆福岡市美術館で「ミュシャ展」
変わっては、女性が手に持つビスケットの広告です。髪飾りは原材料の小麦の穂。身にまとうドレスにも、鎌と麦が描かれています。ミュシャは多くの人の目に留まる作品を数多く手がけ、ポスターを芸術へと押し上げました。
「ミュシャ展　マルチ・アーティストの先駆者」は福岡市美術館で開かれています（６月４日まで、月曜休館）