鮮魚と野菜が織りなす、軽やかなフレンチコースを薬院で!

鮮魚と野菜が織りなす、軽やかなフレンチコースを薬院で!

2020年3月、薬院に注目すべきフレンチ店が現れました。それが魚介・野菜・果実でコースを組み立てる「le Sud」です。魚食文化の成熟した福岡ですが、フレンチであえて肉を使わぬアプローチは斬新かつ大胆。けれどもそのクオリティは着実に人々の心を掴み、「ゴ・エ・ミヨ2022」にも名を連ねる人気店となっています。

ル・シュッド店内

城南線から少し入った静かな一画で、「le Sud」を営むのはオーナーシェフの手塚卓良さん・昌美さんご夫妻。外観はややアダルトですが、自然な色合いが目に優しい店内はむしろカジュアルです。

手塚さん夫妻もまたフレンドリーな人柄で、「2人の顔が見たくて」と訪れる常連客も多いでしょう。が、もちろん真の楽しみはこれから。南仏の3つ星レストランで腕を磨き、西中洲「レザン・ドール」では料理長を務め、店にミシュランの星をもたらした職人の妙技が見られるのですから。

ディナーコース(10,800円)はアミューズ、前菜3種、スープ、魚料理、デザート、小菓子、ドリンクという内容。前述のように肉は使わず、平戸の瀬戸市場や長浜から近海の鮮魚を仕入れています。
「このスタイルは私にとって良いことづくめです」と微笑む手塚さん。「例えば四季折々の魚介でコース全体の季節感を演出できますし、ヘルシーで余韻も軽やか。フレンチ店というより、“海鮮料理の店”として月に2~3度通われる方もいらっしゃいますね」。

ル・シュッドアミューズ

見た目、香り、美味しさのすべてに配慮した料理は、夏らしい涼やかなアミューズでスタート。これは冬瓜をムースにし、その上から賽の目切りの冬瓜とヤリイカ、赤シソを乗せたものです。かろうじて固体を保つ柔らかなムースは風味も抜群。そこへ冬瓜とイカの甘みが加わって、ふくよかな美味が立ちのぼります。

ル・シュッド前菜1

みずみずしい輝きの冷前菜は、シマアジのカルパッチョと朝倉産野菜の盛り合わせです。魚のうまさもさることながら、とにかく野菜の美味しさが印象的。パリッとした歯触りを出すための下ごしらえも丁寧で、体が喜ぶフレッシュな味わいが口一杯に広がりました。

ル・シュッド前菜2

前菜2品目は、手塚さんが描く夏のイメージカラー“黄色”でまとめた料理。マリネしたナスの上に、軽く炙ったキス、キュウリのピクルス、カボチャなどを乗せ、またもや魚と野菜の絶妙なコラボを披露します。黄色いトマトと黄色いスイカで仕立てたガスパチョをソースに用いるセンスも秀逸!

ル・シュッド奥様

そしてこれらの料理を、種類豊富なロゼワインがさらに爽やかにしてくれます。南仏産を中心に揃えた銘柄は実に20種以上。「フランス滞在時にロゼの美味しさに目覚め、福岡のお客様にも広めたいと思ったんです」と、ソムリエ兼サービスの昌美さんが教えてくれました。ロゼ主体のペアリングも可能で、コアなワイン好きにも面白い体験になりそうですね。

前菜の後は、スペシャリテの「スープ・ド・ポワソン」が登場。複数の魚介の出汁をトマトとサフランで味付けした魅惑の一杯で、魚の頭から尻尾まで大切に扱う手塚さんの想いを凝縮した料理でもあります。この日はアカハタ、アオハタ、アラカブ、オコゼ、オニカサゴなどの根魚から半日がかりでエキスを抽出。すべての客を陶酔に導く濃厚な“旨味の海”は、「これぞ究極の魚介料理かも」と思わせる極上の滋味でした。なおコースの〆には、このスープを使った絶品リゾットも味わえます(+2,000円)。

ル・シュッドメイン

堂々たる風格のメイン料理は玄海産甘鯛のウロコ焼きです。カリッとした皮の下から現れる、ふっくらした身の仕上がりはさすが練達の技。水分量を計算しつつ低温調理を繰り返し、食材の真価を余さず引き出した貫禄の一皿です。

ル・シュッドデザート

デザートは糸島産ヨーグルトのシャーベットとシャインマスカットに、ライムを絞ったムースを添えたもの。最後までさっぱりと、それでいて食べ応え十分な満足のコースでした。手塚さんが目指す「和食のニュアンスを持ったフレンチ」の軽やかさが、この気持ち良い食後感を生むのでしょう。どれだけ歳を重ねても、長く付き合っていけそうな良店だと感じました。

そんな「lu Sud」ですが、実は月に2日だけ渾身の肉料理が味わえる機会があります。毎月28・29日か29・30日を「肉の日」と銘打ち、肉料理をメインにしたコースを提供するのです(料金は通常と同じ)。うーむ、こちらも気になる!

店舗名:le Sud (ル・シュッド)
ジャンル:フランス料理
住所:福岡市中央区薬院1-6-25ルネスキューブ1F
電話番号:092-791-4450 (要予約)
営業時間:12:00~OS13:30/18:00~入店19:30 ※水曜は昼のみ営業
定休日:日祝日
席数:カウンター4席、テーブル12席
個室:なし
メニュー:ランチコース4,500円、ディナーコース10,800円(サービス料込)、ペアリング2,800円~

THE WRITER

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