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須崎の町角に灯をともす、讃岐うどんがうまい大衆酒場

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地元の常連はもちろん、サンパレスや博多座などの観劇客も立ち寄る「カイネ」。このうどん居酒屋が須崎問屋街に現れたのは2009年のことでした。近隣には同じジャンルの草分け「つきよし」もあり、順調にいけば“うどん居酒屋街”形成の礎になったかも? しかしビル撤去にともない「カイネ」はほど近い場所に移転。新たなテナントで3年目を迎えています。

カイネ店内

厨房に立つのは63歳の店主・タバタカズナリさん。料理歴40年を超えるベテラン料理人でもあります。カウンターとテーブルを配した店内は、素の自分でのんびり過ごせる気さくな空間。テレビから流れるホークスの試合の熱気も加わって、お手本のような博多の大衆酒場をつくりあげていました。

カイネメニュー1 カイネメニュー2

品書きを見ると、表には多彩な料理名、裏面には豊富な讃岐うどんメニューがびっしり。「うどんの種類はオープン当初からほぼ変わらないですね」とタバタさん。「別の居酒屋を営んでいた頃、何か引きのあるメニューが欲しくて、僕の大好きなうどんを出そうと思ったんです」。結果的にうどん居酒屋ブームに先駆ける形となった「カイネ」ですが、その開業のために50歳から打ち始めたうどんはほぼ独学だったとか。その成果は後ほど賞味するとして、まずは酒の友からつまんでみましょう。

カイネ豚骨卵焼き カイネ豚骨

最初に頼んだのはメニューのおすすめ欄にある2品。「名物タバタの豚足」(左/528円) は企業秘密の隠し味で豚足を5時間煮込み、仕上げに小麦粉をまぶしてパリッと焼きあげた女性に人気の一品です。舌にトロリとまとわりつく独特の食感がたまらないんですよね。
もう一つの「うどん屋の出し巻き玉子」(右/495円。ハーフは275円)は、その名に違わずうどん出汁の効果でふっくら&しっとりした焼きあがり。染み入る旨味と程よい塩加減が、日本酒の余韻をより高めてくれました。

カイネ料理ピザタルタル

この「海老とアボカドのタルタル」(左/638円)と「明太マヨピザ」(495円)はワインとの相性も抜群。タルタルは自家製マヨネーズの味が大いに好みで、わざわざ2度焼きしてクリスピー感を出したピザも上々の味でした。タバタさんの料理は、どれもシンプルながら手作りの温かみが潜む“正直な料理”。アテと呼ぶにふさわしい値段設定とサイズ感も普段使いにピッタリだと思います。

カイネうどん肉釜玉

そして、今宵を締めくくるうどんは「肉釜玉」(770円)に決定。讃岐の2種類の小麦をブレンドした麺は唇をツルッと通る滑らかさで、モッチリしたコシも期待どおり。そこに甘く炊いた牛肉が加わって、味蕾を喜ばす幸せな波動が口一杯に広がりました。
「もっと太くてコシの強い“男麺”みたいなうどんが打ちたいですね」とタバタさんが微笑みます。「まだ理想には遠いけど」と謙遜しますが、これは堂々と専門店を名乗れる完成度。長年人気2トップを誇るという「明太バター」や「カレーうどん」も気になります!

カイネ外観

イタリア料理でキャリアを始めたタバタさんは、あるとき「本当は居酒屋みたいな店がやりたいんだ」と気づいて進路変更。以来、念願の酒場の店主として客たちとの交流を楽しんでいます。「カイネ」という名は「博多“界”隈の賑やかな“音”も含めて楽しんでほしい」との想いを込めて付けたとか。でもここで生まれる客の談笑こそ、実は須崎一番の“界音”かもしれませんね。

店舗名:ウドン・酒場 カイネ
ジャンル:居酒屋、うどん
住所:福岡市博多区須崎町6-21ガーネット博多1F
電話番号:080-3982-5303
営業時間:17:30~OS22:30
定休日:日・月曜
席数:カウンター6席、テーブル18席
個室:なし
メニュー:名物タバタの豚足528円、うどん屋の出し巻き玉子495円、海老とアボカドのタルタル638円、明太マヨピザ495円、肉釜玉うどん770円、明太バター釜玉うどん660円、レバテキ385円、とろあじフライ385円

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