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いろいろな種類の鴨肉の食べ比べが楽しい店

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大博通りから1本入った路地にあるこの店は、昭和47年創業の鴨料理の店で、年季の入った店構えがなんともいい雰囲気を醸し出している。
木の扉をガラガラと開けると、店主の半田義樹さんが私を見てこう言った。
「デビさん、ずいぶん久しぶりですね。5,6年ぶりでしょう?」
「いやいや、私の本の取材で伺ったのが最後だから約3年ぶりくらいですよ」
時間が長く感じるということは、半田さんにとっては、この3年間はコロナ禍をはじめ記憶に残るような出来事が、数多くあったのかもしれない。
店内も店構えと同様にレトロな雰囲気で、イスや壁のポスターやBGMが昭和のいい味をだしている。

店主の半田さんはフランス料理店やイタリア料理店で働いたのちに、自身の店も営んでいたが、縁があって2015年にこちらの三代目となった。奥様も一緒に働いており、時々娘さんや息子さんが手伝ったりするアットホームな雰囲気が良い。鴨の種類の説明資料の鴨の絵は娘さんが描いたらしい。

ここは、昼と夜で全く違う顔をもつ、なんとも珍しい店である。夜はその名の通り、鴨料理が食べられる。夜は3日前までに要予約のコース料理のみの提供で、4種類のコースがある。

「しゃぶしゃぶ鴨鍋コース」(10,000円)は、数種類の鴨を使った前菜の盛り合わせ、鉄板焼きの鴨鋤(すき)、鴨のしゃぶしゃぶ、〆の田舎そばと全4品。京都、大阪、フランス、ハンガリー、ポーランドなど、各地から数種類の鴨を取り寄せて、使い分けている。なかでも河内鴨は絶品で、福岡で食べられる店は2軒くらいしかないらしい。

「鴨鋤」は、鉄板の代わりに農具の“鋤”を使ってジュージューと焼く鴨のすき焼き。発想も面白いが、真ん中のくぼみに溜まった鴨の脂が、いい感じにネギに絡まって美味い! 

そしてメインのしゃぶしゃぶでは、ズラリときれいに並べられた3~4種類の鴨肉が登場! 野菜ときのこをたっぷり入れた鍋の中で、しゃぶしゃぶして食べるのだが、鴨の種類によってまったく味が違うので、食べ比べができて楽しいのだ。例えば京鴨はあっさりしているとか、とうもろこしを食べて育ったバルバリージョーヌは皮が黄色く、脂身の口どけがよく赤身とのバランスが良いとか、フォアグラを採るための鴨として有名なミュラールは、脂がのっておりフォアグラの芳醇な香りがするとか、シャラン産エトフェ鴨は血を抜かずに屠殺しているので、肉に血液などのコクがでるとか、それぞれの特徴を楽しむことができる。
調理しながら半田さんや奥様が丁寧に説明してくれるので、助かるし嬉しい。

コースとは別に、是非追加で食べていただきたいのが「鴨のフォアグラ」(6,000円)だ。要予約の逸品だが、ミュラール鴨のフォアグラはとろける舌触りと濃厚な味わいが最高なんよ。りんごのポワレとハチミツ、バルサミコ酢のソースがめちゃめちゃ合う。

そして昼は、なんと皿うどん専門店になるんよ。夜とぜんぜん違うのだが、行列は必至で、ラストオーダー前に売り切れることもあるそう。今年の元旦の西日本新聞の「九州ごはん遺産」というコーナーで、「カモ専門店の絶品皿うどん」として大々的に掲載されたから、しばらくは行列がすごいかも。1人前でも十分なボリュームで、具材もイカ、あさり、小柱、ちくわ、キャベツ、もやしと具沢山で満足度が高い。麺はパリっと感があるモチモチ系の平打ちちぢれ麺。麺の量は1玉、1.2玉、1.5玉、3人で4玉など、細かく自由に選べて、ちょうどいい量を注文できるのも嬉しい。途中で酢を入れるといい感じに味変されて飽きることなく完食できるよ。
もしかしたら昼に皿うどんを食べて、夜に鴨料理を食べにくる客もいるかもしれない。

皿うどんの注文票、分母が人数で分子が麺の玉数を表している

店舗名:かも料理専門店 まりも本店
ジャンル:鍋、肉料理、麺
住所:福岡市博多区上呉服町11-212
電話番号:092-281-0380
営業時間:11:00~OS13:30 (第2、第4土曜は11:30~)/18:00~OS20:30
定休日:日祝日
席数:テーブル35席
個室:なし
メニュー:昼メニュー:皿うどん1玉900円、夜メニュー:鴨のフルコース15,000円(4名~1週間前までに要予約)、しゃぶしゃぶ鴨鍋コース10,000円(2名~3日前までに要予約)、すきやき鴨鍋コース(2名~3日前までに要予約)、飲み放題付宴会プラン11,000円(4名~3日前までに要予約)、フォアグラとりんごのポワレ6,000円(要予約)、鴨のローストオレンジソース5,000円(要予約)、鴨のコンフィ4,500円(要予約)
URL:https://marimohonten.com/

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この記事を書いたひと

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