櫻井浩二インサイト

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新型コロナの集団免疫獲得は「完璧に神話」ワクチン以外の解決法を

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかける切り札と期待されているワクチン接種。政府も接種率の向上に躍起になっているが、ここにきて「集団免疫獲得は絶望的」という見出しが新聞紙面に躍るようになってきた。一体どういうことなのか?毎日新聞論説委員の元村有希子さんが、RKBラジオ『櫻井浩二インサイト』で解説した。

櫻井浩二アナウンサー(以下、櫻井):これまでは、国民の60%~70%がワクチンを受ければ、集団免疫ができて、それで感染もだんだん収まってくるんじゃないかって言われていたんですけど、その集団免疫が絶望視されているんですか?

元村有希子さん(以下、元村):例えばシンガポールの財務相も「集団免疫は獲得できない」、アメリカの専門家も「獲得は接種率95%でも無理」、あとイギリス・オックスフォード大学の先生は「集団免疫の基準に達することがもはや絵空事である」と言っていますね。

櫻井:そもそも“集団免疫”っていうのはどういうことなんですか?

元村:「ある集団が感染症に対する免疫を持っていれば、ここに1人、感染者が紛れ込んだとしても、みんな免疫を持っているので広がらない」という考え方です。

櫻井:そうすれば、多少感染者が出ても大きく広がってくことはない。

元村:そのときに考慮しないといけないポイントが二つあって、一つは「どれぐらいの人が免疫を獲得できるか」ということですね。新型コロナでいうと、どれぐらいの人が実際に罹って抗体を作るか、あるいはワクチンを打って抗体を作るかっていうことですね。ですから、ワクチン接種率を何%まで上げれば、集団免疫状態になるかっていうことが議論されてきたわけです。で、これ実は“公式”があるんですよ。

櫻井:公式?

元村:必要な数値は、1人の感染者が何人にうつすのか、という「再生産数」。麻疹(はしか)だと20人ぐらいにうつすと言われています。新型コロナは1人が2.5人にうつす、と1年半前には言われていました。だから2.5っていうのをちょっと覚えてください。

櫻井:2.5ですね。

元村:公式は、まず1をこの2.5で割る。そうすると1÷2.5=0.4ですよね。次にこの0.4を1から引きます。

櫻井:0.6になりますね。

元村:つまり60%ですね。だから、2.5っていう再生産数だと60%の人が免疫を持っていれば、集団免疫を獲得した状態になるんですよ。

櫻井:公式はシンプルでわかりやすいですね。

元村:ただ、この1人が2.5人にうつすっていう数字がいま、揺らいできているんです。デルタ株に置き換わっていると言われていますよね。このデルタ株の再生産数は、2.5を大幅に上回っていて、だいたい7とか言われているんですね。

櫻井:7!?1人が7人にうつすって言われているんですか?

元村:水ぼうそう並みって言われています。先ほどの公式で集団免疫獲得を計算すると、まず1÷7≒0.15。次に1-0.15=0.85ですよね。つまり、85%の人がワクチンを打たないと、集団免疫は獲得できないっていうことが、理論的に成り立ちますね。

櫻井:なるほど。

元村:もう一つ考慮に入れるポイントは、デルタ株でもお分かりのように、新型コロナウイルスって変異しやすいんですよ。私たちが見てきている範囲だと、このウイルスはどんどん危険な方向に変異しているじゃないですか。もともと2.5って言われていたのが7まで“凶暴”になってきているということは、次にまた未知のものが出てきて、再生産数が10とか12とかになるかもしれない。そうすると、私たちはどの変異株を対象にワクチンを作っていいかもわからないし、どこを目指して打てばいいかも不確定になるわけです。一方で、麻疹のウイルスは1人が20人ぐらいにうつすと先ほど言いましたが、こちらは集団免疫が可能なんです。

櫻井:なんでですか?

元村:麻疹のウイルスってめちゃめちゃ安定していて変異しないんですよ。人間がやるべきことは、ワクチンを1回作ったら、それをいかにたくさんの人に打つかっていうことだけ考えればいいんです。ところがコロナウイルスは、変異していくので厄介ですよ。

櫻井:まだこれからどんどん変異してきますもんね。

元村:だから集団免疫のことは、頭の片隅ぐらいに置いといて、やはり感染対策をできる範囲で行って、免疫を獲得していくような社会をめざしていくべきで、集団免疫はもう完璧に神話だと思った方がいい。

田中みずきアナウンサー:ワクチン2回打っても「ブレイクスルー感染」っていうのがあるし、もう何も安心する要素がないですよね。

元村:もともと言われていましたよね、ワクチンは感染予防じゃなくて重症化予防だって。だからそこの時点でもう集団免疫は幻想になりつつあったんですけど。

櫻井:そうなると、やっぱり特効薬がないと立ち向かえないんだっていうことを思わせますね。

元村:特効薬というか「解決方法は一つじゃない」ということを認識しつつ、いろんな解決法を考えていくっていう方に、社会として頭を切り替えないといけないですね。

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