「取材、頑張ってね」「体調には気をつけて」。過酷な被災地で、被災した人たちから私にかけられた言葉である。
熊本で発生した地震から1週間がたった8月4日。私は被害が大きかった宇城市、八代市へ向かった。至るところで片付け作業が行われていたが、被災者たちを追い詰めていたのが厳しい暑さ、そして断水だった。額から汗を流しながら作業する被災者の皆さん。風呂に入れない状況が続いていて、体力だけでなく精神的にも限界に達しているようだった。
使えるトイレも限られていた。取材する私も水を飲むのをためらう瞬間があったが、この猛暑である。こまめな水分補給をしなければ倒れてしまう。現地での過酷さを体験した。しかし私が被災地で過ごしたのはわずか1日。福岡に戻ればシャワーもトイレもある。突如として日常を奪われ、家族、友人の心配をしながら、仕事も手につかず、被害に遭った自宅の清掃をしている被災者の方々。その姿を前に、役に立てない自分のふがいなさを感じた。
極限状態のなかで被災した方々から発せられた優しい言葉を忘れない。その声を広く届け、これからも寄り添い続けること。それが、あの言葉に応えるための私の精いっぱいの役割である。
8月15日(土)毎日新聞掲載
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