<リード>
6月はRKB70周年を記念した「カラフルマンス」として、SDGs=持続可能な開発目標への様々な取り組みを紹介しています。
今回は14番「海の豊かさを守ろう」です。
養鶏業者が頭を悩ませているのが、大量のふんの処理です。
この「やっかいもの」を活用して、「海の栄養」にしようという試みが始まっています。
<VTR>
直径25センチ、高さ25センチの円柱形のブロック。
鶏のふんから作った、海のための「肥料」です。
記者リポート「ちょっと、かいでみていいですか?全然、臭くないですね」
佐賀県唐津市の工場に、山積みにされた鶏のふん。
インタビュー
水炊き店「博多華味鳥」など、全国に35店舗を展開するトリゼングループの養鶏場から集められたものです。
ブランド鶏「華味鳥」など、年間に500万羽の鶏を育てているトリゼングループの養鶏場では、毎月2千トンを超える量のふんが出るといいます。
事業拡大に伴い、その処理が課題になると同時に、特有の悪臭という問題も抱えていました。
インタビュー
トリゼングループは、3年ほど前から広島大学と共同で、鶏のふんから肥料を作る研究を行っています。
独自で開発したバイオエキスを、ふんにかけて完全に発酵させることで、においや大腸菌などの菌を取り除くことに成功しました。
その後、熟成ゲージといわれる倉庫に1か月ほど寝かせ、さらさらな状態になったところで、機械を使って圧縮しブロック状の肥料が完成します。
この肥料が何に役立つかというと・・・アサリの養殖に使います。
国内のアサリの漁獲量は、ピーク時の1984年には16万トンほどあったものの、おととしは約8000トンにまで激減しています。
国内各地の海では、高度経済成長期に窒素やリンを含んだ工場排水などによって、赤潮が大量に発生しました。
赤潮は、「富栄養化」でプランクトンが異常発生して起きます。
水質の改善が進められた結果、海はきれいになりましたが、一方で貝類が食べるプランクトンが吸収する有機物が不足し、「貧栄養状態」に。
その結果、アサリなどが育ちにくくなったのです。
この製品には、海に「栄養」をもたらす窒素やリンが多く含まれていますが、ブロック状に固めたことで5か月ほどかけて溶け出すようになっているため、赤潮が発生しにくいということです。
「鶏のふんの肥料」を導入している地域では、成果が出始めています。
インタビュー
広島県尾道市や熊本県玉名市などで実証実験を行っていて、「やっかいもの」から作られた肥料は、今では「海の救世主」として期待を集めています。
インタビュー
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