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黒田さんの大発明!高齢者ソフト食

宮崎市の管理栄養士、黒田留美子さん(64)は 「食べることは生きること、楽しむこと」をモットーに高齢者がいくつになっても食事を楽しめるよう、約20年前から高齢者のための夢のような食事を研究・開発してきた。それは、噛む力が弱っても、飲み込む力が弱っても、見た目がおいしそうな料理を食べることができる「高齢者ソフト食」。今年8月に特許を取得したばかりの今、注目を集めている技術だ。

黒田さんが作るトンカツやエビフライは見た目は全く普通の献立と同じ形、同じ香りをしているのだが、一度口にすると食感だけがまるで違う。驚くほどに柔らかいのだ。食べる機能が衰えた高齢者が歯を使わなくても料理を飲み込むことができる画期的な調理法は、重い認知症や脳梗塞などの後遺症が残る高齢者も安心・安全に口にでき、きざみ食・ミキサー食とは違い普通食の形態をした食べる喜びも感じられる魔法の調理法なのだ。

驚くべきはそのカラクリ!難しい知識がなくても、普通の調理法に一度見れば誰でも覚えられる「ちょっとした工夫」を加えるだけ。高齢化が進む日本だけでなく、世界へ向けた介護食のイメージを一新させる新しい調理技術「高齢者ソフト食」で黒田さんは世界に挑戦している!
<取材先データ>
取材対象者:農学博士・管理栄養士 黒田 留美子
住所(事務局):宮崎県 宮崎市 小松台西3丁目7番21号
連絡アドレス:softshoku2004@gmail.com その他の情報
高齢者ソフト食 黒田留美子 ホームページ http://www.softshoku.net/ Facebookあり「黒田留美子」で検索
高齢者ソフト食の作り方、メニューをまとめたレシピ本も多数出版

黒田さんの大発明!高齢者ソフト食

今回は高齢者の食事をテーマに世界に挑戦する女性の取り組みを追いかけました。私が黒田さんと出会ったのは、2年前、敬老の日の企画で取材をしたことでした。

1年間に60回全国各地で「高齢者ソフト食」を啓蒙・普及するため講演を行っている黒田さんの約2ヶ月間に同行させて頂きましたが、超高齢社会の日本で、高齢者の生活の質を向上させる食事がいかに注目を集めているのか、講義を受けに来ている参加者の顔つきを見て、身をもって感じました。
宮崎に住んでいるからか、日常の取材の中でも高齢化は各市町村で課題となっているテーマだと感じます。黒田さんは正義感が強く、高齢者に優しい女性です。20年前に目の前の高齢者に「おいしい見た目のご飯を食べさせたい」と始めた「高齢者ソフト食」の開発だったそうですが、現在、黒田さん自身も65歳の高齢者です。

しかし年齢を感じさせないほどパワフルな黒田さんを同じ女性としてとても素敵だと感じます。「高齢者ソフト食」という調理法は、基礎知識さえあれば誰でも家庭で作ることができます。黒田さんは未来の日本のための社会貢献につながる研究に人生をかけて取り組んでいます。去年には、農林水産省が黒田さんのソフト食のような家庭用の介護食を「スマイルケア食」とネーミングし、ソフト食は新たな介護食のジャンルとして確立されようとしています。その根底には「高齢者に家庭で食べるような温かい食事を提供したい」という温かい思いやりがあふれていると感じます。
「高齢者ソフト食」は、これからの日本の糧になると私は感じました。
MRT 宮崎放送 テレビ制作部 堺 玲奈

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