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沖縄ラーメン、中国デビュー!

それまで麺と言えば豚とカツオだしの透き通ったスープの“沖縄そば”だった沖縄。そこへ18年前、ラーメン旋風をおこした「琉球新麺 通堂」。白濁の豚骨スープの“おとこ味”に、鶏のガラやもみじを使ったうま塩の“おんな味”の通堂ラーメンは沖縄にラーメン文化をもたらし、今では沖縄そば屋に次いでラーメン屋はなじみのものとなった。

「琉球新麺 通堂」は、最近ではアジアからのインバウンドにも人気で特に2017年秋に進出した台湾からのお客さんで連日大盛況だ。そんな中、通堂ラーメンの知名度が決して高いとはいえない中国は浙江省杭州に今年進出する。中国は今、都心を中心に徐々に日本のラーメン熱が高くなっている。ところが進出するにあたり、様々な壁にぶち当たる。味の要、沖縄の塩が輸入できない上に日本の醤油もNG。豚も中国内では大きさにばらつきがあるためスペイン産の豚肉を使うことになった。

味に試行錯誤しながら杭州で事前に何度も行なわれた試食会では参加者から厳しい意見も飛び出した。“郷に入れば郷に従え”自問自答する代表の金城良次さん(58)。1杯に心を込め、お客さんに満足してもらえるラーメンとは果たしてどうあるべきなのか?
■取材先
会社名:琉球新麺 通堂
担当者:金城 良次
住所:那覇市金城5-4-6(小禄本店)
電話:098-857-5577
HP:http://www.ryoji-family.co.jp/ryukyushinmen_tondo.html

取材後記

きっかけは横浜のラーメン博物館“ご当地ラーメン”募集だった金城良次さん(58)。もともと沖縄県内で人気居酒屋を数店舗経営していた(現在も営業中)が、40代になってから挑戦した“ご当地ラーメン”「琉球新麺 通堂」が、沖縄に空前のラーメンブームをもたらした。

私も開店当時、長い列に並びうま塩スープの平打ち麺“おんな味”を食べた時はその美味しさのとりこになった。同じく琉球大学留学中に通堂ラーメン・おとこ味のとりこになったもうひとりの主役、鮑 春雷(バオ チュンレイ)さん。親の病で泣く泣く留学を途中で断念、帰国した。その後数々の仕事を経験し、不動産業で成功した苦労人だ。実業家となり十何年ぶりに沖縄へ遊びに来た時、思い出の通堂ラーメンの変わらぬ美味しさに感動したという。きっと自身のこれまでの人生を振り返った特別な1杯になったに違いない。そして誕生した中国の通堂1号店(杭州市)。杭州には、マッシュルームや高菜、タケノコ、豚肉をふんだんに使った地元のソウルフード 杭州ラーメンがある。

金城さんは、杭州の土地に敬意を払い、1号店で「ハロー!杭州」という名のメニューを提案。通堂のおんな味のスープをベースにマッシュルーム、そして沖縄でも“チキナー”として愛されている高菜、豚肉やショウガを使ったラーメンだ。譲れないものはみんなが自信を持って出せるラーメン。そして進化できるものはどんどんチャレンジしていく。沖縄のラーメン業界を引っ張り続ける通堂の底力を見た1杯となっている。是非杭州で試して欲しい。
担当:RBC琉球放送 大嶺明子

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