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朝の定点観測|アナウンサーコラム

毎朝、6時に起きて犬の散歩に出かけるのが日課だ。

ただ、冬の朝はつらく、夜明け前の犬と私の攻防で一日が幕を開ける。布団の中でいつも躊躇(ちゅうちょ)する。家族に代わってもらおうか。もう少し眠りたい。そんな逡巡(しゅんじゅん)で時間を費やしていると、愚息ならぬ愚犬がベッドまでやって来て、顔を布団の中に潜らせ、濡れた鼻先をピタッと顔や手に付けてくる。

ヒヤッとして目が覚める。さらに、大きなしっぽを左右に振り、一方が壁に当たり、ドンドンと出陣の太鼓かと思うような音が鳴る。こうなると起きざるを得ない。犬の勝ちだ。重たい腰をあげる。

2月初めの日の出は7時過ぎなので、まだ真っ暗。晴れれば放射冷却が働き、足元から底冷えするような寒さになり、雲が広がれば朝の冷え込みが幾分抑えられる。

天気予報でよく聞くセリフを肌で感じられるのは、朝の散歩のお陰だ。毎日同じ時間に散歩をすることによって、ヒバリのさえずり、桜の開花、田植え、日の昇る位置など、四季の移ろいに敏感になった。

コロナ禍で季節を感じにくい世の中になったが、自然の営みに目を向けると発見がある。こうした変化に五感で感じられるようになったのは、朝の散歩という定点観測の賜物。犬に感謝せねば。さて、明日の朝の散歩、どうしよう。

2月5日(土)毎日新聞掲載



田畑 竜介 RKBアナウンサー。 福岡県北九州市出身。

【担当番組】
テレビ:タダイマ! チャートバスターズR! ラジオ:おしゃべり本棚 ゴリけんの九州・沖縄ぐるぐるマップ

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