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高島宗一郎・福岡市長「都心の再開発と並行してアートの街づくりを」

全国から注目されている成長都市のひとつ、福岡市の高島宗一郎市長がRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』のインタビューに応じ、再開発が進む中心市街地をアートで埋める施策について「保税区を設けるなどアーティストを支援するような仕組みを国に働きかけていく」とこれからの構想を語った。  

ビル建て替え中の「仮囲い」でウォールアート

田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):今は街中で再開発が進んでいる途中ということで、やはり工事現場をよく見かけるんですが、ちょっと無機質な場所になってるなと思うんです。

高島宗一郎福岡市長(以下、市長):やっぱり工事中ってね、騒音もするし、慣れ親しんだビルもなくなってガランとしていて、中に入れるわけでもないし、それが九州の商業の中心地のあちらこちらでそんな状況になっている、というのを、単にマイナスだけで終わらせるのではなく、“日本一仮囲いが多い街”だからこそ、この仮囲いにウォールアートをアーティストたちが描いていくという「ウォールアートプロジェクト」っていうものを、再開発に合わせて、スタートしました。

市長:去年第1回の募集をしたんですが、本当に素晴らしい作品がたくさん集まりました。工事現場であっても歩きながら「こんな作品があるんだ」「これは誰の作品だろう?」とか、楽しみながら街を歩いて行ける“日本一仮囲いが楽しい街”というふうに、今ある状況からどうプラスに変えていくかっていう発想です。

彩りを加えて「住み続けたい」と思える街に

市長:アーティストからも活動の場、表現の場がもっと欲しいという声が市に寄せられていました。これは新型コロナの感染拡大が背景にあります。コロナの2年間、人を集められず発表の場がないっていうのは、モチベーションも下がりますよね。福岡市として、どういう形で場を提供できるか、いろいろ考えてたんですけれども、絵画等の分野ではウォールアートをやってみようというアイディアが去年浮かんだんです。

市長:アートとか、アーティスト活動ってともすると「それより給付金が先だ」みたいになりがちなんですが、でも中長期で見たときに、やっぱり「明日に向かって頑張っていこう」と思えるのは、エンターテイメントの力がすごく大きいと思います。

田畑:今回の福岡市の予算でもテーマの一つが「彩り」ということで、このウォールアートプロジェクト以外にも何かあるんですか。

市長:都心部の建て替えの誘導っていうことが進んできて、高付加価値のビジネスが集積しやすいような街になってくるわけなんですが、ガラス張りでなんとなくかっこいいけど、同時に直線的で無機質なイメージになってしまうんじゃないかなと思うんです。ここをそうはしないのが福岡市であって、これから求められるウェルビーイング、一人一人が街を歩くと自由な発想が浮かんだり、インスパイアされたり「ここに住んでいて良かった、住み続けたいな」と思ってもらえるように街づくりをしていくためには、街の中に彩りを加えていくってすごく大事だと思うんです。

市長:「一人一花運動」も天神ビッグバンと同じ時期に始めて、街に随分花が多くなったと思いますせんか?アートっていうものも、もっともっと盛り上げていって、例えば歩きながらでも屋外アートとしてユニークな作品を目に見えるように、建て替えをしているビルにアートを取り入れてほしいと働きかけています。

アーティストの育成にも意欲「国に働きかけたい」

市長:福岡市はスタートアップも非常に盛んですが、アートの分野でもアーティストがいろんな刺激を受け成長し、それがちゃんとビジネスとして成立するように、例えば保税区とかいろんな仕掛けを今、多方面で行ってるんです。

田畑:保税区とは?

市長:簡単に言うと、アート作品が海外から入るときって、売れるか売れないかわからなくても税金が取られるんですよ。でも保税区という中に入れているときは「ここはまだ課税されませんよ。これが売れて保税区から外に出るときに税金を払えばいいですよ」ということになるので、いろんなアート作品が、日本の中に入ってきやすくなるんです。日本はアートに関する分野の税金周りがすごく厳しいというか、活性化の阻害となるような税制がいっぱいあるんです。たとえば海外だと絵画を寄付すると、その価値相当の税金が控除されるんですよ。だから美術館とかにすごい作品がいっぱい集まります。一方、日本ではアートが盛んにならないようなボトルネックがあって、ここは国の制度を変えていきたいなと思って、ちょっといろいろ働きかけをしていこうっていうなことも思ってるんです。

田畑:伝統工芸はもちろんですけども、福岡市は今、現代的なアートの若いアーティストが今どんどん出てきていますね。両方を支え、守って、そして成長させていきたいですよね。

市長:そうですね。みんながみんな小さい頃から絵や彫刻、いろんなアートに興味があって造詣が深いわけではなく、何かのきっかけから好きになってくるわけですけど、知ると人生が豊かになってくるので、そんなきっかけを、街中のいろんなところで感じられるような仕掛けをこれからしていきたいと思っています。

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