今月中旬に日本を襲った大規模黄砂では、南は鹿児島から北は北海道まで、28道府県で空が黄色く染まり、見通しが5キロ以下になった所もありました。ここまでの規模の黄砂は数年ぶりとのこと。
黄砂の発生源は大陸の奥地、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠ですが、今年は例年より雨が少なく乾燥が続いていました。そこに3月からの異常高温で、凍っていた砂やその上の雪が溶けてしまったため、砂が舞い上がりやすい状態なのです。
そして黄砂シーズンの来月も高温少雨が続く見込みで、中国の気象台は黄砂を巻き上げる砂塵あらしの発生が多いと予報しているため、今年は黄砂の当たり年になってしまうかもしれません。
今回の黄砂飛来では、新たな問題も指摘されています。黄砂が花粉症を悪化させたり、黄砂に付着した金属がアレルギーを引き起こしたり、脳梗塞・心筋梗塞の引き金になったりするそうです。
一方で、海に落ちることで豊かな漁場を作る、水に溶けると弱アルカリ性になるため酸性雨を緩和するなど、以前から黄砂の良い面も知られています。
多すぎても無くなってしまっても困る黄砂。しっかり予報を見て、外出を控える、マスク、眼鏡を活用するなど、上手に付き合っていかなければいけませんね。
龍山康朗=RKB気象予報士・防災士
毎日新聞福岡版 2023年4月29日掲載
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