「水を入れ替えられない」大雨で塩分濃度が下がり河口のエビ養殖場に“不安” 九州に大雨
土砂崩れで住宅2棟が倒壊し70代の女性が亡くなった佐賀県唐津市では、11日も引き続き行方が分からなくなっている男性2人の捜索が行われました。大雨の被害は、現場周辺だけではなく川の下流部分、そして海にまで及んでいます。河口のエビ養殖場は、塩分濃度の低下が続くことを不安に思っています。
行方不明の50代と70代の男性の捜索に全力
RKB小畠健太「土砂崩れ現場の下流では、救助犬を使った捜索活動が行われています」
大雨による被災から一夜明けた、佐賀県唐津市浜玉町。消防や警察、自衛隊など130人以上が範囲を広げて行方不明となった男性2人の捜索にあたりました。昼前には山口知事が現場を訪れ、避難している住民たちと面会しました。
山口知事「言葉にならないような状態、土砂災害の怖さを改めて感じた」
午前には捜索中のヘリコプターが男性の姿を発見、現場で死亡が確認されました。行方不明になった男性の可能性もあるとみて身元の確認がすすめられています。
付近の住民「バキバキっと木が折れる音とものすごい音がした。なんかなと思ったら土石流の瞬間が起きてから。白煙立ててバッと」
猛烈な勢いで流れ下ったという土砂。砂防学の専門家が現地調査を行いました。
九州大学大学院農学研究院・水野秀明准教授「流されてきた土砂は真砂土。花崗岩が風化したような細かい土砂。標高差で200メートルくらい水平距離500メートルくらい。けっこう急なのでスピードがつくかなりのスピードで流れ込んだ感じを受けます」
下流域の保育園は再開の目処たたず
流れ出た土砂は、下流にも影響を及ぼしています。
RKB小畠健太「川の勢いで護岸が削られ、ハウスが川に落ち込んだ形で泊まっています。ハウスの中にも土砂や流木が流れ込んだようです」
下流の保育園では、部屋の中まで土砂が流れ込んでいました。
平原保育園・村益浩玄園長「裏が崩れてしまっている。そのまま使うのは難しいです。父親に聞いたら40年くらい前にも同じ事があったけれど、それよりひどいです。市と連携しながらやっていこうと思う」
川に面する護岸が崩落し安全性が確保できないため保育園の再開のめどは立っていません。公民館や集会所など別の場所での保育を検討しているということです。
海水の塩分が下がり、エビの養殖場は水門を閉じる
佐賀県唐津市の川には、大量の土砂や木が流れ込みました。唐津焼の窯元の小島直喜さんは「川が増水してきたなと思ったら色が変わって、古い家みたいな臭いがした」と振り返ります。影響は、海にも及んでいます。6キロほど下流の唐津湾の河口には、山から木が流れ込み、一夜明けても一面が茶色く濁っていました。河口のすぐそばにある車エビの養殖場では、毎日、海水を取り込み約3割の水を入れ替えています。しかし大雨で塩分の濃度が下がったため、前日から水門などを閉じました。
浜崎クルマエビセンター・福森春介場長「外海から水をいれるんですけれど、まったくできない状態が続いているので2・3日くらいたったらできるかなと。早く入れかえたいですね。もう一回大雨が降るとまずいかなと・・・」
過去の大雨でクルマエビが死ぬ被害が出た養殖場。働く人は、今後の雨に不安を募らせています。
記録的豪雨による被害
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