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被災地の病院が診療再開 検査は7割できず 完全復旧に半年かかる見込み 九州大雨 

浸水した影響で外来の受け付けを休止していた福岡県久留米市の田主丸中央病院が8日ぶりに外来を再開しました。被災地では厳しい暑さの中懸命の復旧活動が続いています。

●院長が患者にあいさつ「お待たせしました」
久留米市の田主丸中央病院では、18日午前8時半、8日ぶりに外来の受け付けを再開しました。

訪れた患者「ありがたく思っていますよ」
訪れた患者「どうなるのかなって心配しましたけど、安心しました」

田主丸中央病院は、今月10日の大雨で1階が浸水。17日までにのべ700人のボランティアが復旧作業にあたり再開にこぎ着けました。鬼塚一郎院長は、「改めて地域に根ざした病院で多くの人に大切にされていると感じました。今後行政と協力してこの地域の治水活動をより災害に対して強靭な形にしていくとともに、病院も災害に対して災害拠点病院にふさわしい強靭な病院にしていきたい」と話しました。

◆機器が水につかり今も7割検査できず
田主丸中央病院によりますと、医療機器や手術室が水に浸かった影響で平常時の7割近くの検査などが今も行えない状態で完全復旧には半年ほどかかる見通しだだということです。

◆北九州市は職員を派遣
一方、北九州市は、家屋被害の調査のため、久留米市に職員を派遣することを決め出発式が開かれました。派遣されるのは、被災地での家屋調査を経験した職員16人で期間は今月28日までです。

派遣される職員「罹災証明書の発行が被災者の生活再建の第一歩になるので、被害認定調査を進めたい」

◆専門家が分析「表層崩壊が起きた状態に大量の雨」
被災地では、土砂災害が起きたメカニズムなどの調査も始まっています。17日、地盤工学会の専門家チームが土砂災害が起きた久留米市やうきは市で地質的な特性などを詳しく調べました。研究室調査チームの1人で、地盤工学を専門とする九州大学の笠間清伸教授は、久留米市で起きた大規模な土砂災害について「堆積した土砂の量」に注目しています。

九州大学 笠間清伸教授「映像をみてもわかると思いますが、非常に土砂が多いというのが現場に行った感想です。堆積している土砂の厚さとしては3メートルくらい、非常に厚く堆積していて家の屋根にまで堆積しているような厚さがありました」

笠間教授は、山の複数か所で崩れた土砂が多量の雨と混ざりあった結果、大きな土石流となって一気に流れたのではないかと分析しています。

九州大学 笠間清伸教授「表層のうすい1メートルから2メートルのところがどさっと落ちるような感じ。色々なところで表層崩壊が起こった状態で雨がまだ多量に降っている。途中で、ある程度溜まった土砂が一気に崩れてきたんじゃないかと思います」

◆被災地に義援金箱
久留米市役所などには、18日、義援金箱が設置されました。集められた義援金は家屋被害を受けた世帯に届けられるということです。

久留米市総務課 桑野高行事務主査「少しでも復旧復興のために役立ててもらおうと多くの方々に義援金という形での支援をお願いします。今回の大雨で被害にあった方のためにみなさまの善意の協力をよろしくお願いします」

大雨の被害から8日、少しずつですが、確実に復旧が進んでいます。

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