福岡県宮若市の川で小学生の児童3人が溺れて死亡した事故を受け、学校は家庭訪問を始めるなど子供たちの心のケアに務めています。中学生以下の子供は海より川で命を落とす事例が目立ち、専門家は「屈折によって水深が浅く見える」として、危険性を見誤ってしまう川の恐ろしさを指摘します。
少し移動するだけで川の“表情”は一変する
楽しいはずの川遊びが暗転した今回の事故。福岡県では今年も水の事故が相次いでいて、事故にあった人の4割が亡くなっています。夏休みに入り、川遊びを楽しんでいる家族連れに聞きました。
小学生「楽しいけど向こうのほうに行ったらちょっと怖いです」
男性「目の離れないようなところにいることと、なるべく浅瀬で遊ばせて、水かけ程度で、川の中に入らないように心がけています」
川は、場所によって表情を変えることを知っておかなければなりません。
RKB町田有平「50メートルほど上流に来ただけなんですが、川の表情がガラリと変わりました。川幅がせまく段差が連続しているため、流れが一気に速くなっています」
水難事故に詳しい専門家は、自然の川には、一瞬にして人の命を奪う恐ろしさがあると警鐘をならします。
水難学会・木村隆彦理事「今年、安全でも来年も安全かはまったくわからない。新型コロナ対策で、プールの授業を中止した小学校が多い水の中の基本的な動作を知らない子供も多いと思う」
「遊んで良いのは膝から下の深さまで」専門家が警鐘
福岡県警が2017年~2021年の過去5年の水難事故を集計したところ、海で59%、川で27%が発生していました。中学生以下に限ると、海が35%、川が46%と逆転し、川での事故が最も多いことがわかります。
水難学会・木村理事「子供は保護者がどこかの海に連れて行かない以上は家から離れた海で水遊びをすることはない。川で事故が多いのは、住んでいる身近な地域で事故にあうからです。遊んで良いのは膝から下の深さまで。屈折によって水深が浅く見えるがだまされないこと」
死亡した3人は、本流と合流する場所で深みにはまったか
川で溺れて亡くなった3人が通っていた宮若西小学校では22日、保護者説明会が開かれました。6年生の中村優杏さん、小野愛莉南さん、大澤奏來さんの3人は当初、支流の浅い場所で遊んでいましたが、本流の犬鳴川と合流する地点に向かい流されたとみられています。
宮若西小学校・日高暢裕校長「いつも明るくて元気。校長先生頑張ってと声をかけてくれる子だった。子供が辛い思いをして昨日(事故当日)の夜も眠れなかったという人もいた。丁寧に聞き取りを行っていきたい」
学校は24日から6年生の児童を対象に家庭訪問を行うほか、夏休み中に登校日を設け、全学年の児童に心の状態に関するアンケートを実施することにしています。3人が亡くなった現場には、多くの人たちが花を手向けていました。
訪れた人「これからという人生を、こういう形で亡くなるのはやるせない」
近所の人「子供を亡くした親御さんのことを考えたらどうしようもなくて、多分苦しかったんじゃないかなと思うんですよね、子供さんも」
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