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『金余り』『投資熱』が支える福岡の地価上昇 専門家は「マンション売れ残りリスク」も指摘 

福岡県は19日、土地取引価格の目安となる「基準地価」を発表しました。福岡市やその近郊を中心に地価の上昇が続いていて県全体の伸び率は、商業地で全国1位、住宅地と工業地が全国2位となっています。

戸建て住宅は売れないのにマンションの着工は増えている

 

ただ、今後の見通しについては手放しでは喜べない現状もあるようです。不動産鑑定士の高田氏は「投資家にとって福岡は東京より割安感があり、当面は今の状態が続いていく」とした上で、投資対象であるマンションが売れ残る可能性も指摘しています。

 

 

日本不動産研究所 九州支社 高田卓巳次長
「大手ハウスメーカーの受注件数も今年に入ってから前年割れが続いています。戸建て住宅については少し売れにくくなってきた。一方で、マンションについては、分譲住宅を引き続きどんどんつくり続けている状況」

今後マンションが売れ残る可能性 

 

戸建て住宅とマンションでなぜ違う動きをしているのでしょうか。

 

日本不動産研究所 九州支社 高田卓巳次長
「戸建て住宅の需要は実際にそこに住む人に限られるとみています。一方、マンションは実際に「住みたい」人がいるかという需要に加えて投資家による「投資先」としての需要に支えられていると考えています。ということは、価格が高くついているマンション物件については、今後売れ残りが出てくる可能性があるのではないか。今は、お金を持っている投資家に買い支えられている状況ですが、今後開発した物件が想定通りに売れないと、それが不良債権化して市場が悪化することにつながります」

福岡県内の地価を詳しく

 

福岡県内の市町村別の平均変動率では福岡市や春日市、大野城市など38の市と町で住宅地の価格が上昇。大川市が31年ぶり、芦屋町が27年ぶり、広川町が24年ぶりに下落から上昇に転じました。飯塚市では今年7月に開業した「ゆめタウン飯塚」周辺で3年ぶりに新築マンションの建設が進むなど、市全体の地価は上昇しています。ただ、福岡県内の商業地で下落率が最も大きかったのは「飯塚市長尾」でマイナス4・3%、住宅地で下落率が最も大きかったのは「飯塚市八木山」でマイナス3・8%でした。市の中心部にある商店街でも空き店舗が目立ち、市街地の空洞化が懸念されています。

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この記事を書いたひと

三浦良介

1999年入社、テレビ営業部、大阪支社勤務を経て2011年から情報番組のディレクターを務める。2016年から報道記者として政治・経済を中心に取材奮闘中。