PageTopButton

「明日は、今日より良い日に」葉っぱを画材に絵を描く“葉っぱ太郎” 妻と迎えた穏やかな「人生の秋」

葉っぱを用いて絵を描く「葉画(はが)」を描き出して20年以上。81歳の男性が福岡市にいます。

名刺も「葉っぱ」で

「私、“葉っぱ太郎”です。これは葉っぱで作った名刺です。とっておきの得意技です」

“葉っぱ太郎”こと吉住正隆さん(81歳)。14日から、結婚60周年を記念して、福岡市南区の自宅で個展を開きます。展示する絵は、絵の具を使っているのではなく、葉っぱで描かれた葉画です。

葉画の魅力を伝えるため、準備した絵は全部で150点に上ります。

吉住正隆さん「みなさんに葉っぱの絵を見ていただいて、家内には60年支えてもらったお礼の気持ちということで、このイベントを企画しました」

置き場所に困る作品1万点

福岡県糸島市生まれの吉住さん。22年前に会社を定年退職しましたが、偶然行った物産展で葉画と出会い、その魅力に引き込まれました。

吉住正隆さん「『えー? 葉っぱで!』って感じですよね、やる前は。自分で努力したら形ができあがる。1万点くらい作ってしまって置く場所がなくなってきた」

勇壮な男たちを描いた絵「博多祇園山笠オッショイ」。水法被(みずはっぴ)のそでは、葉っぱの形がそのまま生かされ、躍動感ある様子を表現しました。絵の具とは全く違う「暖かみのある色彩」が、葉画の特徴です。

吉住正隆さん「別に決まったことがないのが面白い。(葉っぱを見せながら)『ふくろうが横に寝とる』場合には、このままでも使えんことない。葉っぱの形を生かして」

「野菜泥棒」と疑われ

一つとして同じ葉っぱがないため、色や形を見て様々な葉っぱを組み合わせながら作品を作ります。素材の葉っぱも、全て吉住さんが歩き回り集めたものです。

(葉っぱ拾いをしながら)「こういうのは有望株ですね、色がきれいでしょう?」

山や野のほか、近くの公園にも素材の葉っぱがあふれていて、「宝の山だ」と話す吉住さん。葉っぱ集めに夢中になりすぎて、苦い経験をしたことも…。

吉住正隆さん「田舎やったら、キャベツ畑があるやないですか。収穫して中身は全部取って、外側だけ枯れて腐れかかったのがあるので、取りよったんですよ。すると『何しよんや!?』って、最初から犯罪者扱い。『すみません、葉っぱに使う(葉画の)材料なんですわ』と言うと、『もう全部もってけ!』って」

拾った葉っぱは3年以上乾燥

集めた葉っぱは、すぐに使えるわけではありません。防虫処理をした後で最低3年は乾燥させます。これまで集めて保管している葉っぱは約50万枚にもなります。

そんな正隆さんと連れ添ってきた妻の吉住智恵(ともえ)さん。正隆さんと同じ年齢です。

吉住正隆さん「あしたは、きょうよりもっと良い日にしよう。それがずっと10年、20年続いたらいい」

結婚して、10月15日で60周年。

吉住智恵さん「この人の想いと思いますので、ありがたいと思います。葉っぱを取ってきたら、何時になろうと夜中でも、新聞紙の間に半紙をはさみ、その間に葉っぱを入れて、全部押し葉にしてました。だから、私は先に寝てました。(夫の生き方を)真似しないでくださいね」

「一つとして同じものはない」

「自然の絵の具」である葉っぱを使い、20年以上絵を描き続けてきた吉住さん。今では「人生で欠かせないもの」だと語ります

吉住正隆さん「葉っぱで20年。80歳を超して、『100歳までいくよ!』っていう時に、やっぱり葉画ははずせませんね。明日元気に幸せに生きていこうと。一日、一日。その結果100歳まで目指す」

一つとして同じものはない葉っぱを使い、新たな命を吹き込む葉画。吉住さんの情熱はまだまだ尽きることはありません。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう