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常勤医師15人が退職する中核病院の院長を解任…生活保護の患者に差別的な発言?行き過ぎた「救急は断らない」方針で軋轢

福岡市早良区にある福岡記念病院で常勤する医師15人が退職する意向を示しています。福岡市の救急医療を担う病院で何が起きているのか?背景には、病棟の建て替えを控え、「利益率の改善」に力を注ぐ経営陣と一部の医師たちとの軋轢が見え隠れしています。

「そういうことなので当直から外れて頂きます」

 

福岡記念病院・茂木恒俊医師「簡単に言うと院長の発言ですね。これで多くの医師が傷ついて辞めたいと。かなり働きにくくなってしまっているので、辞めたいと思っている医師が私含めて聞いている範囲内なんですけど15人前後いるのは確認しています。

 


福岡市早良区西新にある福岡記念病院。早良区で唯一の「地域医療支援病院」で一般外来のほか、24時間365日、救急患者を受け入れています。総合診療科で部長を務める茂木医師は、去年10月に院長が代わってから「救急は断らない」という方針が強化され、受け入れを断った医師にはペナルティが科されるようになったと訴えます。

 

 

茂木医師「救急の体制に関しても“もう断るな、取れ”と。脅すと言ったら言葉が変ですけど、やっぱり、みんな怯えてしまうんですよね」

 

 

先月18日、総合診療科の医師による告発がフェイスブックに投稿されました。それによりますと、夜中の救急搬送を断った医師が後日、多くの職員がいる朝礼の場で理事長と院長から「これは病院に対する背徳行為になります」などと叱責され、当直から外されたということです。

(音声データ)

理事長:
「断ったら二次救急病院から外されます。ということは、うちに救急車が来ないということになりますので、救命急患センターから受け入れ要請があった場合は満床であっても断らないで下さい」

院長:
「そういったことなので、この先生はちょっと当直から少し外れて頂くか減らすようにします」

搬送された重症患者に応急処置を行った後、緊急手術ができる別の病院に転院させた医師も多くの医師・職員がいる前で叱責されたということです。

茂木医師「翌日の朝に“何でこういうことをしたんですか”と咎めを受けて、ちょっと全員唖然としたんですよね」

生活保護の患者に“差別的”な発言か


年間に6000台以上の救急車を受け入れている福岡記念病院。院長が代わって以降、受け入れ件数はさらに増加し、去年11月には病院が開設されて以来最多の716台を受け入れました。医療機関に受け入れを断られ、救急車が現場で待機する「救急搬送困難事案」が社会問題となる中、頼もしい存在と言えます。しかし、現場で働く医師や看護師は受け入れ態勢が十分とは言えず「いつミスが起きてもおかしくない」と話します。

 


救急担当の医師「一人一人に目が向けられなくなって、放置状態になってしまうような、違う患者に違う薬が行ったりとか、そういったことが起きてもおかしくない状態は度々あったような感じですね。このままではちょっと身が持たないのもあるし、心が持たない」

 


院長は「生活保護を受けている患者はトラブルの元」などど差別的とも受け取れる発言をしていました。

(音声データ・去年10月に録音)

院長:
「生保(=生活保護)だから多分ですね、寛解するまで(=病状が治まるまで)入院を言われると思うんですよね。早めに外来機能で良ければ外来に出して頂いて、生保の人には普通の対応を、金を払う方には濃厚な医療をするのが通常の医療じゃないかなと」

こうした理事長や院長に反発して今年3月末までに14人の医師が退職する予定です。さらに1人の医師が夏までに退職する意向を示しています。これは常勤医師のおよそ2割に相当しますが、病院側は「例年より退職者が多いが診療に影響が出ることはない」と説明しています。しかし、新型コロナや肺炎などを診療する呼吸器内科は、常勤医師がいなくなり、今の診療態勢を維持するのが難しい状況になるおそれがあります。

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