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24匹の猫を残して飼い主は亡くなったはずが…実は生きていた【多頭飼育崩壊】

ペットが増えすぎて飼い主が適正に飼育ができなくなる「多頭飼育崩壊」が社会問題となっています。なぜ飼育ができない状況に陥るのか、福岡で支援にあたる団体を取材しました。

「あれよこれよと子猫を産んで…」寂しさから逃れるために飼い始めた

 

吉岡さん「飼い主さんが亡くなったというのは虚偽だったんですけど。(飼い主は)苦しかったんでしょうね。言えばどこかが動いてくださるとお気持ちがあったでしょうけど、ご本人から実は自分が飼い主ですと報告があって」

増え続けた猫は約30匹。適正な飼育ができず、アパートの建て壊しも決まり去年8月、飼い主の男性は6匹の猫を連れて部屋を出ていったといいます。飼い主の男性に話を聞くことができました。

 

 

飼い主の男性(60代):
「職場にきた猫をおうちに連れてかえったら子猫が生まれて、子猫ひろったからもらってくれないか言われて、そしたらあれよこれよと子猫を産んで」

男性は5年前、離婚した寂しさから逃れるため野良猫を飼い始めました。しかし、置き去りにした猫たちが心配になり「飼い主が亡くなった」と嘘をついてボランティアに助けを求めたといいます。現在、引っ越したこの部屋で飼育している猫は19匹。多頭飼育崩壊の現場で捕獲したほとんどの猫たちは、男性の自宅に戻されていました。吉岡さんは「苦渋の決断だった」と話します。
 


吉岡さん:
「どこの団体も保護でぱんぱん。私も実際そうなので。一旦飼い主さんのところに戻して状態をよくして、そのためにはボランティアと行政が関わっていかなければいけないんですけど」

この日は、全国の支援者から届いた猫のえさやトイレの砂を男性に届けます。

 

 

飼い主の男性(60代):
「ありがたいですよ。猫のトイレの砂だけでも1袋が1000円ちょとしますからね。1回で2袋近くなくなるから」

男性の自宅では、大野城市の職員と吉岡さんが月に一度の「現地調査」を行っています。しかし、床にはタバコの吸い殻やこびりついた猫のフンなどが散乱。さらに猫を世話するケージの中も掃除をせずに放置されていました。

 

 

吉岡さん:
「今の環境のままでいいわけはないので朝10分でも早起きして、1日1回のトイレを1日2回トイレ清掃をするというのをがんばっていたただきたい。飼い主さんも一生懸命がんばっていただきたい」

飼い主の男性(60代):
「それは重々わかっているんですが、この子たちのためですからね」

「飼い主」をどのように“再建”するかが鍵を握る

 

大野城市循環型社会推進課・近藤学係長:
「外に猫ちゃんがいても、かわいそうだからと家に入れえさをあげようとすると、どうしてもまた同じ状況になてしまいます。最後までかわいがってあげてください」

家庭動物啓発センターの担当者は、ペットのケアだけでなく飼い主の生活面も含めた見守りが課題だと話します。

 

 

家庭動物啓発センター・三坂征嗣所長:
「飼い主の生活がちゃんと再建といいますか、それができているのかどうか。その部分は動物行政だけではなかなか難しいというのが正直なところです。なので社会福祉部門と今後連携をとりながらどのように飼い主さんの今後を見守っていくのかというところが大きな課題だと思う」

 

 

吉岡さん:
「当然この猫たちの譲渡もしていかないといけないですし、適正飼育に関しては行政も一緒に飼い主をケアしていく。ここからが本当のスタートだと思うんです」

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