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人生はマラソン 35歳のリスタート

今年2月の開催で11回を数える熊本城マラソン。今では熊本に春の訪れを告げる大会になった。この大会に向けて練習を重ねるのは「熊本の公務員ランナー」として知られる地下翔太さん(35)。第1回・2回大会で連覇した実力派ランナーだ。


大学時代に箱根駅伝を走った地下さんは、卒業すると故郷の熊本県球磨村に戻り役場に就職。熊本城マラソンの注目選手としてマスコミに取り上げられる度に「故郷のために仕事がしたい」と語っていた。

 

ところが2020年7月、球磨村を豪雨が襲う。球磨川の氾濫で村に住む25人が命を落とし、村では壊滅的な被害が出た。犠牲者の中にはランナーとしての地下さんをいつも応援してくれていた祖父・末行さんも含まれていた。役場職員の地下さんは、悲しむ間もなく被災者のケアや災害復興に追われるが、その後多くの人が村を離れ、人口は豪雨前の7割にまで落ち込んだ。

 

そこで地下さんは、疲弊していく村に活気を取り戻そうと去年3月に役場を退職。閉鎖していた村の観光宿泊施設を仲間と再開した。慣れない仕事を始めて半年。営業は軌道に乗ってきたものの、マラソンに向けた練習時間が思うように確保できない。それでも地下さんは大会に参加して得たいものがあると話す。2月18日。号砲とともに地下さんの42,195㎞がスタートした。
 

(制作:RKK熊本放送/沖村 考祐)

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