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伝統と革新の庖丁師~小林正博の挑戦~

雅楽の調べに合わせ、長庖丁と箸を両手で操り魚をさばく「庖丁道」。献上魚には一切手を触れない技術だ。裃をつけ奉納する小林正博(こばやし まさひろ)さん(68)は、室町時代に創始された大草流庖丁道の16代家元。熊本県在住の日本料理調理師としては初となる「現代の名工」にも選ばれ、黄綬褒章も受賞した料理人だ。


小林さんが日本料理の道に進んだのは15歳の時。地元熊本のホテルを皮切りに大阪、東京、京都で修業を積み25歳で帰熊。地元ホテルの料理長に着任したが、「料理人が技術を磨く時間も環境もない」ことに驚いたという。「自分の修行時代に比べ、人手不足の今は即実践。技を磨くのが難しい時代になっている」。


“料理人の技術の底上げを”と、小林さんは2017年に日本初となる職業訓練のための短期大学を設立。現役で働く料理人を対象に、週に1日・3年間かけて実技と学科を学んでもらう。さらに、ホテルや飲食店向けに季節ごとのレシピ考案や素材の下ごしらえを請け負う会社も立ち上げた。いずれも「料理人を調理に専念させるため」だ。


小林さん自身も去年、和食の店を構え 新しい食材を使った創作料理にも余念がない。

「今も試行錯誤」と語る庖丁師・小林さんの日々を追う。


(制作:RKK熊本放送/久保田 泰代)

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