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築80年の古民家で味わう、最後の「ひと煮たち」。朝からごちそう煮魚定食

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2026年10月1日、裏天神に「食堂ひと煮たち」がオープンした。

手がけるのは、春吉の「魚ト肴 いとおかし」をはじめ、福岡で個性的な飲食店を展開する「いとおかし」グループ。「魚ト肴 いとおかし」といえば、朝から新鮮な魚を楽しめる店として知られ、福岡の朝食ブームの火付け役といってもおかしくない存在だ。

その新店がテーマにしたのは、日本の朝ごはんの定番ともいえる「煮魚」。しかも、ただ煮魚を定食で提供するだけではない。

食堂ひと煮たち 外観

舞台となるのは、築約80年という味わい深い古民家。店内に入ると、カウンター17席だけの空間に新しさと懐かしさが同居している。
朝のやわらかな日差し。目の前で煮汁がぐつぐつと沸く音。立ちのぼる湯気と食欲をそそる香り。
料理が出来上がっていく様子まで含めて、五感で朝食を楽しめる店なのだ。

食堂ひと煮たち 店内

特に目を引くのが、新潟・燕三条の職人に特注したという銅製の「煮たち鍋」。
注文した煮魚は、提供する直前にこの鍋を使い、客の目の前でもう一度「ひと煮たち」させて仕上げる。
ぐつぐつと煮汁が沸き、湯気が立ち上がる。朝からこれはテンションが上がる。

食堂ひと煮たち スタッフ 左から村田さん、廣瀬さん、穴井さん

店長を任されているのは、これまで「いとおかし」グループで店舗統括マネージャーを務めてきた廣瀬 実さん。今回、初めて新店舗の立ち上げを経験することになったというだけあって、意欲満々だ。

そんな廣瀬さんをサポートするのが、村田なるみさんと穴井未來さん。スタッフが生き生きと働く姿も、この店の明るい朝の雰囲気をつくっている。

食堂ひと煮たち 泊オーナーとスタッフ 左から泊さん、廣瀬さん、水城さん

オーナーの泊さんが考えているのは、「朝食は観光産業」ということ。旅先で食べた朝ごはんは、単なる一食ではなく、その街で過ごした「朝の記憶」になる。
だからこそ、客を「おはようございます」で迎え、とびきりの笑顔で「いってらっしゃい」と送り出す。
築80年の古民家で日本らしい朝ごはんを味わうという体験は、福岡を訪れる海外からの旅行者にとっても、忘れられない思い出になりそうだ。

煮魚が主役の4種類の朝定食

食堂ひと煮たち メニュー

定食は4種類。
使う魚は鯖、ブリ、銀ガレイ、アカムツ。それぞれの魚に合わせて煮汁や火入れを変え、最後に「ひと煮たち」させて提供する。そこに炊きたての土鍋ご飯が付くのだから、日本の定番だった煮魚定食が一気に豪華な朝ごはんになる。

食堂ひと煮たち 鯖の味噌煮

「鯖の味噌煮」(1,600円)は、北九州名物の「ぬかだき」をベースにした一品。3種類の味噌を合わせることで、深い味わいがありながら、後口は軽やかに仕上げている。

ブリ大根 ※写真は店舗提供

「ブリ大根」(1,800円)は、極厚に切ったブリを煮すぎず、ふっくらとした食感に。ブリの旨味を吸い込んだ大根は、ほろりと柔らかい。

銀ガレイの煮付け

「銀ガレイの煮付け」(2,200円)は、一般的なカレイの煮付けのイメージとはかなり違う。肉厚な銀ガレイ(カラスガレイ)の切り身をふんわりと煮付けたもので、そのボリューム感にも驚かされる。

アカムツ煮付け ※写真は店舗提供

そして最も贅沢なのが「アカムツ煮付け」(3,800円)。「白身のトロ」ともいわれるアカムツならではの上質な脂、とろけるような食感とコクを煮付けで楽しめる。
いずれの定食にも、小鉢、お吸い物、香の物が付く。

大きな鯖に驚く「鯖の味噌煮」

食堂ひと煮たち 鯖の味噌煮

今回いただいたのは「鯖の味噌煮」(1,600円)。
特注の「煮たち鍋」に入って登場するのだが、まず驚いたのが鯖の大きさ。
でかい!
しかも「煮たち鍋」を置くカウンター部分にはタイルを温める設備が仕込まれていて、食べている間も料理が冷めにくいよう工夫されている。
まずは熱々の鯖をそのままいただく。
3種類の味噌を使った煮汁はコクがあるのに重すぎず、ご飯が進む。
この日の米は富山県産。土鍋で炊き上げた白ご飯はつやつやで、これだけでもおいしい。
まず鯖で1杯。
途中ですだちを鯖に搾れば、爽やかな酸味が加わっていい味変になる。

食堂ひと煮たち 卵とじ

そして、この定食にはまだ続きがある。
鯖を3分の2ほど食べたところで、残った煮汁に卵を入れ、再び目の前で「ひと煮たち」。
半熟に仕上がった卵を煮汁と一緒にご飯にのせれば、鯖の旨味をたっぷり吸った卵とじのようになる。
これは最高。さらにかつお節をかけてもらうと、旨味と香りが加わって、またご飯が欲しくなる。
白ご飯はおかわり自由。
鯖で1杯、すだちで味を変えてもう1杯、最後は卵で1杯。
最低でも3杯はいけてしまいそうなので、しっかりお腹を空かせて行くことをおすすめしたい。とはいえ、とにかくボリュームがあるので、食べ切れなくても心配はいらない。残った煮付けと土鍋ご飯は、それぞれパックに詰めて持ち帰ることもできる。

昔から日本人が食べてきた煮魚と白ご飯。
その組み合わせを、料理、器、空間、そして目の前で仕上げる「ひと煮たち」という体験まで含めて、新しい朝食として見せてくれる。
築80年の古民家で、ぐつぐつという音と湯気から始まる朝。福岡での朝ごはんに、またひとつ楽しみな選択肢が加わった。


完全予約制のため、予約は以下のサイトから。
「食堂ひと煮たち」予約ページ(TableCheck)

食堂ひと煮たち 

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