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「線状降水帯」予測開始へ 全国唯一5年連続で「大雨特別警報」の福岡 高まる期待と今後の課題

全国で唯一、5年連続で「大雨特別警報」が出ている、福岡県。今年も梅雨がやってきます。大雨をもたらす「線状降水帯」は、いつどこで起きるのか。初めての予測が始まろうとしています。
ここ数年、繰り返し起きている豪雨災害。その原因とされるのが、「線状降水帯」です。次々と発生する積乱雲が線のように連なり、数時間にわたって同じ場所にとどまり続け、大雨をもたらす現象です。気象庁は、早めの避難を呼びかけて被害を食い止めるため、来月1日から、線状降水帯の予測を始めます。
気象庁大気海洋部 酒井亮太・気象情報企画官「線状降水帯によって土砂災害や河川の氾濫が発生して、多くの人的な被害が発生する。気象庁としても重要な課題として取り組んでいます」

線状降水帯の予測は、発生の可能性がある時間帯の12時間ほど前に、「九州北部」など、大まかな地域を対象にして発表されます。実際の雨は、狭い範囲に集中して降ることが多いため、地域をより細かく絞れるよう精度を向上させることが、今後の課題になっています。
気象庁大気海洋部 酒井亮太・気象情報企画官「線状降水帯は、まだメカニズムも十分に分かっていない。九州北部といった大まかな地域単位の形が今現在の技術の限界かなと思っています」

予測の精度を向上させるための取り組みもすでに始まっています。
RKB浅上旺太郎「糸島市にあるアメダスです。線状降水帯の予想の精度を向上させるため、こちらのセンサーで湿度を測っています」
地域気象観測システム=通称「アメダス」。全国の主な地点で気温や雨量、風などを観測していますが、気象庁は2020年から、線状降水帯の予測に向けて湿度計の導入を進めています。

福岡管区気象台観測課 江上浩樹係長「今までは、アメダスの中では特段湿度は重要視してなくて、線状降水帯予測を今後していくことになっていまして、その精度を上げるために、空気中の水蒸気量を精度良く観測することで湿度を観測することになりました」

予測のカギを握る「水蒸気」。気象庁は今後、船舶を使って海上のデータも収集するなど、観測を強化していく方針です。
一方、大学でも水蒸気の観測に取り組んでいます。

RKB今林隆史「線状降水帯を予測する上で重要な役割を果たすのが,上空にレーザーを発射するこちらの装置です」
福岡大学のグループが運用する観測装置「ライダー」。上空へ発射したレーザーの光が、粒子に当たってどれぐらい屈折・反射するかを観測することで、大気中の水蒸気の量を知ることができます。
福岡大学 白石浩一助教「どれくらいの高度にどれくらいの水蒸気があるか、瞬時にわかるものですから、そういう情報をすぐにモデルに投与することをやろうとして研究しています」
福大は、長崎市と鹿児島県の甑島にライダーを臨時に設置して、線状降水帯が発生する前に、原料となる水蒸気がどれくらい存在するか観測します。今年度末まで観測データを蓄積したあと、どのような観測体制を整備していくかが、予測につなげるうえで重要だということです。

福岡大学 白石浩一助教「かなり災害も起きているので、本当に早急に取り組まないといけない。ちゃんと配置をして、長期的にちゃんとデータを取ることは本当に必要なところだと思います」

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