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『登ると疲れ果てる』と評判-500メートルなのに“最強の低山”を実地調査した

佐賀県の武雄市と伊万里市、有田町の2市1町にまたがる黒髪連山。標高500メートル程度の比較的低い山が連なる。数千種類ともいわれる植物の宝庫で、佐賀県の県立自然公園に指定されています。この山々が実は「最強の低山」と呼ばれているという。その理由を調べるためにRKBの調査報道グループ「R調査班」が向かった。

入山10分で急勾配 アスレチックのような岩場 

登山客「自分との戦い。ほぼみんなが下山しますもんね、キツいから」
登る者は息を切らしながら途中で引き返すという「低山」。取材班が話を聞いたのは有田町の郷土史に詳しい吉島幹夫さんだ。
黒髪山の自然を守る連絡協議会・吉島幹夫会長「標高は618メートル。ここが100メートルだから引いても青螺山まで500メートル位ですけどあれを直に登る。ただ直に登るのも本当に大変な急坂の連続なんです」
この「最強の低山」の真相を確かめるべく、吉島さんの山仲間に案内してもらい、あえて最高峰の「青螺山(せいらざん)」に挑むことにした。うまくいけば片道2時間くらいで登れるという。

しかし山に入って10分もすると急勾配の斜面が待ち構えていた。木の根っこが縦横無尽に絡みついた岩肌が続き、足場も安定しない。
RKB堤千春「最も急な岩場だそうです。登ります。本当に岩登りしたって感じですね、達成感はあります、楽しい」
「最強」といわれる理由のひとつは、この自然のアスレチックのような岩場にあるようだ。

さらに進むと“植物地帯”が待っていた

一息つく間もなく、先を目指す。木々が生い茂った山の稜線、「痩せ尾根」と呼ばれる細い登山道の脇には様々な植物地帯が広がっていた。自生するシャクナゲは数年おきにしか咲かないという。
ガイド・馬場敏晴さん「これがシャクナゲ地帯ですね、4月には花が咲いてましたけど見れたらラッキーですね。花の季節は難しいので、早かったり遅かったり」
「最強の低山」と呼ばれる2つ目の所以、それは数千種類とも言われる「植物の宝庫」でもあることだった。

この頃、山を登り始めて2時間が経過していた。体力の限界が近づき美しい植物を堪能する余裕はない。機材のあるカメラマンの表情はより険しい。

どうしようもなくきついが“はまる”人続出

さらに30分登った時だった。
「うわーこれは広い、高い。これは気持ちいい」
疲れ果てた取材班を迎えてくれたのは、澄み切った青空と深い緑の山々。そう、「最強の低山」の3つ目の理由は、疲れを吹き飛ばす“絶景”だった。
登山客「ほぼ毎日登ります。飽きない、それが1番」
登山客「変化に富んでますよね。ロープがあり岩登りがあり、それからきつい!きついけどやっぱり達成感があります」
絶景の余韻に浸るのも束の間、下りも岩場を滑り降りるような急斜面が続く。取材班は日常を忘れ、ただひたすら山と向き合う不思議な心地良さを感じながら山を後にしたのだった。  

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