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生徒デザインの新・体操服=実は古着のリサイクル素材から制作! アパレルにも広がれSDGs

「一日あたり1300トン」。トラック130台分になりますが、これは日本国内で一日に捨てられている衣服の量です。この量を少しでも減らし、環境に優しい社会を目指そうという取り組みが企業や学校で広がっています。  
RKB堤千春「こちらが、再生ポリエステル100%で作られた体操服です。非常に軽くて着心地よいですよ」
「中学生の体育の時間」、ではありません。生徒たちはドッジボールをしながら、新しい体操服の着心地を確かめているのです。福岡県筑紫野市にある中高一貫校「リンデンホールスクール」は、今年度、古着をリサイクルした体操服を取り入れました。
中学1年 浅川統真さん「(運動して)暑かったけど、風通しはよかった。涼しかったです」
中学1年 今里優来さん「小学校で1年生から6年生まで使った体操服よりも、使いやすい。ちょっと薄いから動きやすいというのはあるし、柔らかい生地だから」
企画とデザインを担当したのは、高等部の生徒たちです。
「衣類の問題は国内だけの問題ではなく、グローバルな課題として見られています」
生徒たちは去年7月、北九州市にあるリサイクル企業を見学しました。古着を原料として半永久的に再利用する技術に生徒たちは注目し、「リサイクル素材で体操服を作りたい」と考えました。

まずは、素材集めです。全校生徒に呼びかけたところ、約20キロの古着が集まりました。デザインも生徒たちが考え、修正を繰り返しながら体操服を完成させました。
高校3年 都築マリ彩さん「体操服が下級生に渡って、自分たちもSDGsに向けて何かやることがあるんじゃないかと意識してもらえることがよかったと思います」
環境省によると、国内で廃棄される衣服の量は年間で約48万トンに上ります。これは、毎日1300トン=大型トラック130台分の衣服が捨てられている計算です。
衣服の廃棄量を減らそうと、アパレルメーカーも取り組みを進めています。こちらの店舗は、倉庫で眠る在庫やシーズンを過ぎた商品など、これまでは廃棄されていた衣服を集めた「オフプライスストア」です。最大70パーセント引きで販売していて、他のメーカーから買い取った商品もあわせ、様々なブランドを展開しているのが特徴です。

来店客「安かったらうれしいです」「買うときに値段が一番気になるから」「前のデザインと聞かなければ分からないので、いいかな」

新型コロナの影響で売上げが下がり、メーカーが抱える在庫が増える中、この店舗は資金面でも環境面でもメリットがあるといいます。
リンクイット リテール事業部営業 高塚美由紀エリアマネージャー「倉庫に眠っているだけでは、倉庫のお金だったり、維持する人件費だったり、売れていかないというだけで、ゼロではなくて経費がどんどんかさんでいく。こういう場所があることによって、商品を廃棄したりということもなくなります」
ファッションモデルのように、さっそうと歩く女性。コンピューターグラフィックで、ひらりと揺れ動くワンピースのすそや、生地の柔らかな動きまでも表現されています。
手がけたのは、福岡市内を中心にパタンナーとして活動する秋吉麻理子さんです。
「これは160センチのモデルなんですけど、これを例えば、もっと小柄なお客様が着た時用に……これくらいで着用していただけます、はい」
パソコン上で3DのCG技術を使い、着心地や服のシルエットを確認することでサンプルの数を大幅に減らすことができます。
フリーパタンナー秋吉麻理子さん「材料費も人件費もどんどん上がっていく中で、デジタルでサンプルを一着作れるのは、コスト面でもメーカーにとっては意味がとてもあるものだと思います」
リサイクルなどによる廃棄量の削減と無駄なサンプルを作らない試み。アパレル業界でも、持続可能な社会に向けた取り組みが広がりを見せています。

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